不倫裁判とは?かかる費用や請求できる慰謝料相場を解説

配偶者の不倫をきっかけに、裁判を起こして不倫相手に慰謝料請求を検討している方は多いでしょう。

しかし、裁判の機会は人生で何度も訪れるわけではありません。
「不倫による裁判って誰でも起こせるものなの?慰謝料は確実にとれる?」
「そもそも裁判にいくらかかるの?相手に負担できるものなの?」
と、さまざまな疑問が浮かぶでしょう。

そこで本記事では、不倫をきっかけに起こす裁判でかかる費用や、請求できる慰謝料相場について解説します。離婚を視野に入れている方にも参考にしていただける内容なので、ぜひご覧ください。

こんな疑問にお答えします

Q.不倫裁判は誰でも起こせるものですか?

A.不倫裁判は誰でも起こせますが、慰謝料請求が認められるのは既婚者が不貞行為をした場合です。慰謝料の金額に関しては、夫婦関係や不倫期間、不倫の悪質性などさまざまな要素で判断されるでしょう。不安があれば、専門家に相談することをおすすめします。

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不倫裁判とは?どんなときに裁判を起こせるの?

はじめに、不倫裁判とは何かを解説します。

不倫裁判とは、不倫によって生じた損害賠償責任に基づき、不倫相手に慰謝料を請求する裁判のこと。正式な法律用語ではありませんが、不倫をきっかけに裁判を起こすことを一般的に「不倫裁判」と呼ばれています。

不倫裁判による慰謝料請求の対象は、裁判を起こす方によってさまざまでしょう。不倫をした配偶者に請求する方もいれば、不倫相手に対して起こす場合もあります。

本記事では、不倫相手に対して慰謝料請求するという内容で進めます。

不倫によって慰謝料請求ができるのはどんなとき?

不倫裁判は、誰でも起こせるものなのでしょうか。

結論、不倫裁判は誰でも起こせますが、慰謝料請求が認められるのは既婚者が不貞行為をしたかどうかが論点になります。

不貞行為とは、配偶者以外との肉体関係や肉体関係があったと推察できる行為のこと。不倫裁判では、不貞行為の証拠を集めなければなりません。

法的に認められる証拠があれば、離婚事由や慰謝料請求の正当な理由として認められやすくなるでしょう。

不貞行為の証拠に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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不倫裁判の管轄は地方裁判所(または簡易裁判所)

不倫裁判のみを提起する場合は、地方裁判所(慰謝料請求額が140万円以下であれば簡易裁判所)になります。

ここで、不倫裁判に加えて、配偶者との離婚を視野に入れている方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、不倫裁判と離婚裁判を同時に家庭裁判所へ提起することになります。離婚裁判のみを申し立てる場合の管轄は、家庭裁判所です。

まとめると、以下のとおりです。

裁判の種類 申し立てる裁判所
不倫裁判のみ 地方裁判所(または簡易裁判所)
離婚裁判のみ 家庭裁判所
不倫裁判と離婚裁判を同時に 家庭裁判所

不倫裁判と家庭裁判のどちらかのみの場合と、同時に申し立てる場合の管轄が異なるので、注意しましょう。

離婚裁判については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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不倫裁判の全体的な流れ

不倫裁判の全体的な流れは、以下のとおりです。

訴状提出

不倫裁判のみを起こすには、訴状を作成し地方裁判所(または簡易裁判所)へ提出します。

訴状には、以下の内容を記載してください。(※離婚裁判を同時に申し立てる場合は、家庭裁判所へ申し立てます)

  • 慰謝料の支払を求める旨
  • 不倫された側の氏名、住所、連絡先
  • 不倫をした側の氏名、住所、連絡先
  • 不倫行為によって受けた精神的苦痛の内容と、慰謝料の金額
  • 不倫行為を証明する証拠

上記の内容を決められた書式に従って作成します。

訴状が送達され期日が指定される

裁判所で訴状が受理された後、期日の指定とともに被告に訴状が送達されます。期日の目安は、訴状を提出してから1ヶ月後あたりと考えておきましょう。

訴状には不倫相手の住所を記載しなければなりませんが、不明な場合もあるでしょう。弁護士に相談することで、相手の住所を調査してくれます。

第1回口頭弁論

裁判所から呼び出しがあり、第一回口頭弁論が始まります。ここでは、原告は訴状の正式な提出、被告側は答弁書の提出をします。裁判上、これを陳述といいます。

記載内容に対して追加で主張したいことがない限り、口頭で説明する必要はありません。

この後、2回目の期日の確認がなされます。

不倫裁判の多くは、1回の期日で終了することは少ないものです。2回目の期日は、大体1ヶ月後に調整されることが一般的でしょう。

ここで、被告の場合で初回の口頭弁論に欠席せざるを得ないときは、必ず答弁書を提出しておきましょう。期日に参加できないうえに答弁書も提出していない場合、原告の主張を認めたことになるので注意が必要です。

2回目以降の期日

2回目以降の期日は、1〜2ヶ月の間隔で行われるのが一般的です。

基本的には、双方の主張と反論を繰り返して進めることになります。

何度かの期日を踏むと、いよいよ判決に向けて動き出します。裁判所が、最終的に原告と被告の主張を聞き、証拠を加味して判決を下します。

ここで、裁判所が和解を勧告することがあるでしょう。双方が納得し和解が成立すれば、裁判は終了です。

和解が進まない場合は、裁判官によって判決が下されます。

判決(不服がある場合は2週間以内に控訴)

全ての審理を終えたら、判決が書面で届きます。送達時期は、最終審理が終わってから1、2ヶ月後が目安になるでしょう。

判決の内容に納得がいかない方は、判決書が届いてから2週間以内に第一審でお世話になった裁判所に控訴を申し立てます。

控訴状は、法律上の形式に従って作成する必要があります。誤った記載があると、控訴が認められない可能性があるので注意が必要です。不安があれば、弁護士に依頼することをおすすめします。

不倫裁判は、民事裁判に含まれます。民事裁判の詳しい流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しているのでぜひご覧ください。

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不倫裁判でかかる費用と期間

不倫裁判でかかる費用には、訴訟費用弁護士費用(弁護士に依頼する場合)がかかります。

種類 内容と費用相場
訴訟費用 ①裁判所に支払う手数料(請求したい慰謝料によって異なる)
例:200万円請求する場合は1万5000円
  300万円請求する場合は2万円
②訴状送達に必要な切手代(裁判所によって異なる)
例:東京地方裁判所の場合は6,000円
弁護士費用 ①相談料:5,000円〜1万円程度(初回相談無料の法律事務所もある)
②着手金:弁護士に依頼する際に必ず発生する費用
 事務所によるが、大体20万〜30万円程度
③成功報酬:解決に応じて発生する費用
 獲得した慰謝料の2%〜18%が相場

訴訟費用に関しては、訴訟提起の際に原告が立て替えます。裁判の結果に応じて、双方に負担割合が決められるか、完全に敗訴した側が負担することになるでしょう。どちらがどれだけ負担するかは、裁判官に委ねられます。

弁護士費用に関しては、原則として依頼者が負担することが原則です。
ただ、今回のような不倫の場合は、例外として不貞行為を行った側に慰謝料の1割程度に限り請求が認められる可能性があるでしょう。

不倫裁判のほかに、離婚裁判も提起する場合の費用については、こちらの記事を参考にしてください。

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どれくらいの期間がかかるのか

不倫裁判の期間は事案によって異なりますが、半年以上かかることを覚悟しておきましょう。

不倫裁判の場合、証拠の精査が重要になってきます。法的に認められる証拠がない場合は長期化する傾向があり、慰謝料請求が認められない可能性があるかもしれません。

手元に証拠がない場合は、弁護士に相談して進めていくことをおすすめします。弁護士であれば、有益な証拠の集め方を教えてくれますし、裁判を有利に進められるようサポートしてくれます。

民事裁判でかかる平均期間については、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

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不倫裁判で請求できる慰謝料相場は50万円〜300万円

不倫裁判で請求できる慰謝料相場は、50万〜300万円といわれています。
ただし、不倫期間や悪質性、夫婦関係への影響や状況によって変動するでしょう。

不倫をきっかけに婚姻関係が破綻してしまい離婚に至ってしまった場合は、慰謝料が高くなる傾向があります。不倫されたことにより精神疾患を患ってしまった場合も、高額になる可能性があるでしょう。

一方で、以下のようなケースでは、慰謝料が低くなるかもしれません。

  • 不倫発覚する前から夫婦関係が破綻していた
  • 離婚を考えていない
  • 婚姻期間が短い
  • 不倫期間が短い

それまでの夫婦の関係性や不倫の状況によっては、慰謝料が低くなる可能性があるでしょう。子どもの有無について加味される場合もあります。

不倫裁判をスムーズに進めるなら弁護士へ相談を

不倫裁判は、非常に複雑でさまざまな法的要素を伴います。裁判を有利に進めるには、法的に認められる証拠が必要になりますし訴状内容によっては慰謝料の金額に影響するでしょう。

そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。
男女問題や離婚トラブルに強い弁護士を味方につけることで、以下のメリットがあります。

  • 妥当な慰謝料を請求できる
  • 相談者の権利を守ってくれる
  • 裁判手続きを一任できる
  • 離婚を視野に入れている場合は離婚手続きも相談できる

不倫裁判は、状況によっては長期化するケースがあり、精神的な負担が避けられません。サポートしてくれる存在は何より心強いでしょう。

不倫裁判を有利に進めるのであれば、ぜひ弁護士に相談してみてください。

弁護士の見つけ方やおすすめの窓口は、こちらの記事で紹介しています。

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不倫裁判をスムーズに進めるなら事前の対策がカギ

これから不倫裁判に臨もうと考えられている方は、事前対策を行ってみてください。
「不倫の証拠はあるか?」「不倫前と比べて夫婦関係がどのように変化したか?」と、さまざまなポイントを把握する必要があります。

弁護士に相談する場合には、弁護士保険がおすすめです。保険が弁護士費用の負担をしてくれるので助かります。

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経済的・精神的負担を少しでも減らして慎重に進めてみてくださいね。

記事を振り返ってのQ&A

Q.不倫裁判は誰でも起こせるものですか?
A.不倫裁判は誰でも起こせますが、不倫によって慰謝料請求が認められるのは既婚者が不貞行為をした場合です。

Q.不倫裁判の流れを知りたいです。
A.不倫裁判の全体的な流れは、以下のとおりです。

  • 訴状提出
  • 期日
  • 判決
  • 判決に不服があれば控訴

Q.不倫裁判にはいくらかかりますか?
A.不倫裁判でかかる費用には、訴訟費用と弁護士費用(弁護士に依頼する場合)がかかります。訴訟費用に関しては、訴訟提起の際に原告が立て替えます。裁判の結果に応じて、双方に負担割合が決められるか、完全に敗訴した側が負担することになるでしょう。弁護士費用は原則として自己負担ですが、不倫のような不法行為の場合は、一部に限り相手に請求できる可能性があります。

Q.不倫裁判で認められる慰謝料はどれくらいですか?
A.大体50万円〜300万円が相場です。ただし、状況によって異なるので専門家の意見を参考にしてみてください。