従業員や退職後の元従業員からの残業代を請求されることは、多くの企業が直面する問題でそれほど珍しいことではありません。
残業代は、労働者の権利として保護されており、企業はこれを正しく理解し適切に対応する必要があります。しかし、すべての残業代請求が妥当であるとは限りません。会社側の記録や調査によっては、支払う必要のない請求もあります。
ただ、残業代を請求された際に適切な対応をしないと不利な結果を招く可能性があるので注意が必要です。
本記事では、従業員から残業代を請求された際に企業が取るべき適切な対応策と、残業代の請求を拒否できるケースについて解説します。
従業員から残業代請求を受けた経営者や、残業代請求について詳しく知りたい人事担当の方は、ぜひ参考にしてみてください。
こんな疑問にお答えします
Q.従業員から残業代を請求されました。会社はどのように対応するのが適切ですか?
A.会社が残業代を請求された場合、以下の手順で対応しましょう。
- 請求内容を確認する
- 従業員の請求内容が事実と一致するかどうか調査する
- 調査結果に基づき従業員と交渉する
請求内容が明らかに不明瞭で疑問が生じる場合は、会社は反論の意思を持つ必要があります。ただ、反論するには具体的な証拠が必要なので、不明な点があれば専門家に相談してみましょう。
会社が在籍中の従業員から残業代を請求されるケース
会社が受ける残業代請求は、さまざまケースで発生する可能性があります。
厚生労働省が発表した「監督指導による賃金不払残業の是正結果」によると、2020年には1,611企業が100万円以上の割増賃金を支払い、そのうち161企業は1,000万円以上の高額な割増賃金の支払いに至っています。
残業代請求は、いつどのタイミングで発生するか分かりません。企業は、残業代請求に至りやすい複数の典型的なケースを把握し、事前の対策を講じる必要があります。
では具体的に、会社はどのようなケースで残業代支払いを請求されるのか見ていきましょう。
明確な労働時間が記録されていない場合
実際に働いた時間が正確に計算されず報酬化されていないと、従業員は「適切な賃金がもらえていないのでは?」と不信感を抱く可能性があります。
特に、始業前や終業後、休憩時間中に業務を行ったり、在宅で業務に取り組むケースが増えている現代において、これらの「隠れた労働時間」が適切に管理されておらず、残業代請求に至ってしまう場合があります。
管理職だからという理由で残業代が与えられていない場合
管理職だから残業代は発生しないという理由で、残業代が支給されていない場合があります。
管理職と聞くと、残業代や休日労働で割増賃金をもらえない立場と思われるかもしれません。
しかし、残業代や割増賃金が発生しないのは「管理監督者」に該当する場合です。すべての管理職が、管理監督者であるとは限らないため、管理監督者に該当しない場合は残業代や割増賃金は支払われることになります。
そもそも管理職というのは、明確な定義があるわけではなく、一般的には特定のチームをまとめる立場といった意味合いで使われます。そのため、どこまでが管理職であるかは、会社ごとの組織体制によります。
一方、管理監督者は労働基準法で決まっており、責任や権限、職務内容や待遇面で判断されます。
しかし現実には、管理職と管理監督者が混同され残業代を支払わないというケースも存在します。こうした場合は、労働者から残業代を請求される可能性があります。
また、労働者自身が、自分が管理監督者なのかどうかが不明な場合、残業代を請求する要因にもなり得ます。
裁量労働制・みなし労働時間制の適用ミス
裁量労働制やみなし労働時間制の適用ミスも、原因の一つです。
裁量労働制とは、労働時間や休憩時間の制限がない代わりに一定の専門性・自主性を持つ労働者に適用される制度を指します。
会社が裁量労働制を誤って適用している場合、従業員は裁量労働制の適用対象外として残業代の請求が可能です。
みなし残業に関しても、実際には裁量を行使することなく定められた時間以上に働いているにもかかわらず適切に残業代として反映されていなければ、残業代を請求する可能性が高くなるでしょう。
深夜残業・休日労働への割増賃金が適切に支払われていない場合
深夜や休日労働に対する割増賃金が支払われていないケースもあります。
法律では、これらの時間帯に働いた場合の割増賃金の支払いを義務付けていますが、企業がこれを怠った場合、従業員からの残業代請求に至ることがあります。
在籍中の従業員から残業代請求されるようなことがないようにするために、企業が労働基準法に則った適正な労働時間管理と残業代の支払い体系を整備することは重要だといえます。
退職後の元従業員から過去分の残業代を請求される主なケース
残業代請求は、在籍中の従業員からだけではありません。退職後の元従業員から過去分の残業代を請求されるケースも増えています。
元従業員から過去分の残業代を請求されるケースは、主に以下の状況から発生する可能性があります。
記録の不備による未払い残業代請求
退職後に時間をかけて労働時間の記録を精査した結果、過去に未払いだった残業代が明らかになり、それを請求されることがあります。
会社側が適切なタイムカード管理や勤怠管理を行っていない場合、元従業員は実際の労働時間に基づいて残業代を請求できます。ここで、会社側が証拠を提示できなければ、元従業員の主張が認められる可能性が高くなります。
サービス残業分の支払い請求
会社が命令・黙認によって従業員に無償で残業させていた場合、元従業員は退職後であっても未払いの残業代を請求できます。
近年、裁判所はサービス残業の存在を厳しく認定しており、企業側が不利な判決を受けるおそれがあるので注意が必要です。
残業代を請求された際の対応方法
会社が残業代を請求された場合、適切かつ公正な対応をしなければなりません。慌てずに、以下の手順で対応しましょう。
まずは請求内容を詳細に確認する
まず、従業員から提出された残業代請求の内容を詳細に確認します。
請求書やメール、口頭での説明など、どのような形式で請求が行われたかを問わず、支払い請求の範囲、期間、根拠、具体的な金額に目を通してください。
この時点で、請求が不明瞭であれば、従業員に対しより詳細な情報の提供を求める必要があります。
従業員の請求内容が事実と一致するかどうか調査する
請求内容の確認後、会社側はその請求が事実に基づいているかどうかを調査します。
この過程では、勤怠記録、労働契約書、当該期間の業務日報、メールのやり取りなど、可能な限り多くの証拠資料を集め検証しましょう。
また、該当する従業員の直接の上司や関係部署にも確認を取り、状況を総合的に把握してください。
調査結果に基づき従業員と交渉する
調査結果が出た後、その結果に基づいて従業員と交渉を行います。
請求内容が事実と一致しない場合の対応
請求内容が事実と一致しない場合は、根拠を説明し支払いを拒否します。
このとき、誤解を避けるためにも、冷静かつ客観的な証拠を基に納得いく説明を心がけることが重要です。
必要に応じて、誤解が生じた原因や背景にも触れ、今後同様の問題が起こらないようにするための対策を提示してください。
請求内容が事実と一致する場合の対応
請求内容が事実と一致する場合は、支払額について交渉するか、和解案を提示します。
支払うべき残業代の額について従業員と交渉する際は、法律に基づいた適切な計算方法を適用し支払額を決定しましょう。
企業としては、従業員との信頼関係を維持するため、誠実かつ迅速な支払いが望ましいです。また、この問題が再発しないよう、労働時間の管理体制や報酬体系の見直しも検討する必要があります。
いずれの場合も、交渉する際は冷静かつ丁寧に話し、根拠に基づいて説明する必要があります。また、一方的に話し続けるのではなく、相手の意見にも耳を傾け双方が納得できる解決を目指しましょう。
残業代請求に会社が反論できるケース
残業代請求に対して会社側は、請求を受け入れるか、もしくは反論するかを選択することになります。
もし「残業代請求の内容が妥当であり支払う必要がある」と判断し、かつ請求金額が正当なものであれば、双方が合意する金額を決めます。
しかし、請求内容が明らかに不明瞭で疑問が生じる場合は、会社は反論し、適切に主張する必要があります。
具体的に、残業代請求に反論できるケースを紹介します。
請求内容が事実と異なる場合
お伝えしたように、従業員が提出した残業代の請求が勤怠記録やその他の証拠資料と異なる場合、会社側は請求に反論できます。
たとえば「従業員が請求している残業時間が実際には発生していない」または「請求された時間が正確ではない」というケースがあります。
このような場合、会社は客観的な証拠をもとに、請求内容の不正確さを指摘し、請求の一部または全体の支払いを拒否できます。
会社側が残業を禁止していた場合
会社側で明確に残業を禁止しており、従業員に対してその方針を事前に通知していたにもかかわらず無断で残業を行った場合、企業はその残業代請求に反論が可能です。
ただし、実際の業務が残業なしでは遂行不可能であったり、上司が黙認または暗黙の了解のもとで残業を許可していた場合は、反論が難しくなる可能性があります。
従業員が管理監督者に該当する場合
従業員が管理監督者の地位にあり、業務の性質上、時間外労働に対する割増賃金の支払いを受ける権利がない場合、企業は残業代の請求を拒否できる可能性があります。
管理監督者は一般の従業員とは異なり、以下のような特徴があります。
- 企業の経営方針や業務運営に関する重要な決定に関与する
- 他の従業員の勤務状況や業務の進捗を管理・監督する
- 自らの労働時間を自由に設定する権限を有する
労働基準法によると、管理監督者には「労働時間・休憩・休日」に関する規定が適用されないため、これらの条件に該当する従業員には時間外労働に対する割増賃金を支払う必要がないとされています。
そのため、従業員が管理監督者として適切に分類されている場合、企業は残業代の請求に対して法的な根拠に基づき反論が可能です。
参考:厚生労働省 労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために
消滅時効が完成している場合
消滅時効が完成している場合、会社は従業員からの残業代請求を拒否できます。
消滅時効とは、一定期間内に権利行使がなされない場合、その権利を失うという法的な概念のことです。
2020年3月27日の改正労働基準法において、労働者が賃金請求する権利の消滅時効を「当面の間は3年」と定めています。
この3年の時効は、施行日の2020年4月1日以降の賃金から適用されます。法改正前(2020年3月までの残業代)に関しては、時効2年のままです。
残業代の消滅時効の起算点は、「権利を行使できるとき」と規定されています(※)。ただ、民法上「初日不算入の原則」が定められていることから、正確な起算点は「給料日の翌日」になります。
(※)参考:民法第166条第1項
消滅時効を考慮した場合、2020年4月1日以降の残業代未払いは、給料日の翌日から3年間は請求が可能です。
しかし、従業員が消滅時効の期限を過ぎてから残業代を請求した場合、企業は消滅時効を理由にその請求を拒否できます。
残業代の消滅時効は注意が必要
反論できるポイントになる消滅時効ですが、注意しなければ適用されないという可能性があります。
それは、消滅時効を援用するためには、会社側が積極的にその旨を主張する必要がある点です。
消滅時効は、自動的に効力を発揮するものではありません。請求された場合に被請求者(この場合は会社)が具体的に反論として時効の完成を主張し、その主張が認められる必要があります。
従業員からの残業代請求に対して、会社が消滅時効を主張しなければ、消滅時効の期間が経過していたとしても、法的には残業代を支払う義務が残るでしょう。
また、消滅時効を主張する際には、時効期間が実際に経過していることを証明できる必要があります。具体的には、請求の対象となる残業が発生した具体的な時期を確認し、その時点から法定の時効期間が経過していることを明らかにしなければなりません。
こうした方法を通じて、会社は残業代請求に関する法的な責任から免れる可能性がありますが、従業員との信頼関係や社会的な評価を損なわないよう慎重な対応が求められます。
残業代請求の対応に関するNG行為
残業代請求への対応は、慎重に進めなければなりません。
次のようなNG行為をしてしまうと、問題が大きくなり法的トラブルに発展しやすくなるので注意してください。
残業代請求を無視する
従業員からの残業代請求を無視することは、状況を悪化させる原因となります。
請求を無視された従業員は、労働組合や労働基準監督署などの行政機関に相談することができます。その結果、問題が社外に波及し企業の評判に悪影響を与える可能性があります。
請求があった場合は、迅速かつ適切に対応することが重要です。
証拠を隠滅する
勤怠記録やタイムカードなどの証拠を改ざんしたり、破棄したりする行為は法的な問題を引き起こします。
これらの行為は証拠隠滅に該当し、労働基準法違反や詐欺罪などの刑事責任を問われる可能性があるでしょう。
勤怠に関する証拠は、適切な残業代の計算やトラブル解決のために欠かせません。正確な情報を提示できるよう管理しましょう。
請求を撤回するよう圧力をかける
従業員に対して残業代請求の撤回を強要するような圧力をかける行為は、パワーハラスメントや不当労働行為に該当することがあります。
このような行為は法律によって禁止されており、企業の信用失墜や損害賠償責任を負うことになる可能性があります。
安易に支払いを認める
残業代請求を受けたからといって、その内容を十分に検証せずに支払いを認めるのはNGです。
請求の正当性を確認するには、適切な調査と検証が欠かせません。安易な対応によって、根拠のない請求に対しても応じなければならないリスクが生じます。
まずは事実関係を調査し、そのうえで応じるか否かの返答をしましょう。
退職後の元従業員から請求された場合は高額になる可能性がある
退職後の元従業員からの残業代請求には、一層の注意が必要です。
従業員は、勤務していた期間に関係なく、支払われていない残業代を請求する権利があります。特に、従業員が退職してから未払いの残業代に関する訴訟が起こった場合、請求される金額は在職時に比べて増加する可能性が高くなります。
未払い残業代は、民法における契約違反と見なされ、発生した残業代に加えて遅延損害金の支払いが求められるのです。
通常、遅延損害金は年率6%ですが、退職後は「賃金の支払の確保等に関する法律」第6条に基づき年率14.6%に増加します(※)。
これにより、退職後の残業代請求額は、在職時よりも増加する傾向があるでしょう。
さらに、未払い残業代の訴訟で企業が敗訴すると、未払い残業代と同等の「付加金」の支払いを命じられることもあります。この結果、支払われるべき総額が増えてしまいます。
特に、元管理職の従業員から残業代請求に至った際は、これまで未払い時間外や深夜労働の残業代が請求されるため、支払うべき金額が高額になる可能性があるでしょう。
残業代請求に対して会社側が勝訴した判例
残業代請求が不当である場合や不可解な箇所が残る場合、会社側は反論が可能です。
実際に、残業代請求に対して会社側が反論し勝訴した事例を2つ紹介します。
蛭浜タクシー事件(福岡地裁平成19年4月26日判決)
本件は、タクシー会社の乗務員が、会社に対して残業代と深夜労働の割増賃金の支払いを請求した事件です。
判決として福岡地裁は、乗務員が休憩時間中に自由に過ごしていたことや他のドライバーに比べて高額な給与を得ていたことなどを考慮し、労働基準法上の管理監督者であると判断しました。
そのため、時間外労働については深夜労働の割増賃金のみの支払いに留まりました。
富士運輸事件(東京高裁平成27年12月24日)
本件は、原告である元従業員が、会社が支給していた「各種手当」が法的な残業代に算入されていないとして残業代の支払いを請求した判例です。
会社側は、定額残業手当としてすでに原告に支払いがされていると主張し、割増賃金を超える残業代に関しては実際に支払われていました。
こうした根拠から、会社側は完全に勝訴する結果になりました。
残業代請求トラブルを未然に防ぐための労務管理のポイント
残業代請求によるトラブルは、訴訟問題になると解決するまでの時間や労力、コストがかかってしまいます。こうしたトラブルを未然に防ぎ健全な労働環境を維持するには、適切な労務管理が欠かせません。
ここからは、残業代請求トラブルを防ぐための労務管理のポイントを紹介します。
正確な労働時間の記録と管理
労働基準法では、労働時間や残業時間を正確に記録することが義務付けられています。
残業代請求に至る理由の多くに、労働時間が不透明であることが挙げられるでしょう。
さらに、勤務間の休憩時間も適切に管理し、労働時間の計算に誤りがないようにすることが重要です。
労働時間の記録と管理は、以下の手段がおすすめです。
電子タイムカードシステムの導入
従来の紙のタイムカードに代わり、電子タイムカードシステムを導入することで出勤・退勤時間の正確な記録が可能になります。
このシステムは自動で時間を記録するため、手書きによる誤記入や記録漏れの防止につながるでしょう。
また、リアルタイムで労働時間データを集計・管理できるため、労働時間の適正管理が容易になります。
勤怠管理ソフトウェアの活用
勤怠管理ソフトウェアは、従業員の労働時間記録だけでなく、残業時間の管理や休暇管理、労働時間の分析など、多岐にわたる機能が搭載されています。
クラウドベースのサービスを利用することで、どこからでもアクセス可能になり管理者や従業員が労働時間に関する情報を簡単に確認できます。労働時間の透明性が高まり、従業員との間で認識の食い違いを避けられるでしょう。
モバイルアプリケーションの利用
スマートフォンやタブレット用の勤怠管理アプリケーションを利用することで、外出先やリモートワーク中でも正確に労働時間を記録できます。
GPS機能を利用した位置情報に基づく打刻や、作業の開始・終了時間を記録する機能など、多様なニーズに対応するアプリがあります。これにより、フレキシブルな働き方が求められる現代の労働環境においても、労働時間を正確に把握できるでしょう。
残業規制の徹底と労働基準法の遵守
残業規制の徹底と労働基準法の遵守は、残業代請求トラブルを避けるための重要な労務管理方法の一つです。
労働基準法は、労働者の健康と福祉を保護するために設けられた法律であり、その中には労働時間、残業、休憩、休日に関する規定が含まれています。
特に残業時間には法律で定められた上限があり、会社はこの上限を超える残業を従業員にさせられません。残業を適切に管理し、法律で定められた範囲内に収めることは、従業員の過労死や健康障害を防ぎ、残業代請求のトラブルを回避するために不可欠です。
また、残業を必要とする場合は、事前に従業員の同意を得ることが重要であり、これも法律で義務付けられています。
残業規制の徹底と労働基準法の遵守を通じて残業代請求トラブルを未然に防ぎ、長期的に見て企業の生産性と従業員の満足度向上にもつながるでしょう。
定期的な労務監査
定期的な労務監査は、残業代請求トラブルを回避するための非常に有効な方法です。
労務監査は、企業が労働法規を遵守しているか、労務管理が適切に行われているかを確認する重要な手段です。
労務監査を通じて、未払いの残業代や勤務時間の記録漏れ、不適切な休憩時間の管理などの問題を早期発見し、是正措置を講じることができます。
従業員教育
残業代トラブルを防ぐためには、従業員への教育が非常に重要です。具体的に、以下のポイントを従業員に周知し、理解してもらうことが必要です。
- 法令に関する理解
- 労働基準法や時間外労働の上限規制等に関する法令の内容
- 残業代が発生する条件
- 残業代の計算方法
- 会社が負う責任
- 記録・申請に関する手順
- 正しい出退勤記録の方法
- 残業時間の申請・承認フロー
- タイムカードや勤怠管理システムの使い方
また、残業代に関する疑問が生じた場合は、会社に相談する手順も周知してください。これらの取り組みを通じて、従業員の法令遵守意識を高め、残業代トラブルを未然に防ぎましょう。
残業代請求に応じるかどうか迷ったら弁護士へ相談を
企業運営においては、時として従業員からの残業代請求に直面することがあるかと思います。そのような場合、適切な対応をすることは非常に重要であり、誤った対応は企業の信用や従業員との関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
残業代請求に応じるべきかどうか迷った場合、労務トラブルに精通した弁護士に相談することが、適切な解決策を見出すための一歩です。
残業代請求に関する問題を弁護士へ相談するメリット
残業代請求に関する問題を弁護士に相談することには、以下のようなメリットがあります。
法律的なアドバイスを提供してくれる
弁護士は労働法をはじめとする関連法規に精通しています。従って、法律的な視点から企業の状況に合わせた具体的なアドバイスを提供してくれるでしょう。
問題の早期解決
弁護士は、問題を迅速に解決するための手続きや交渉の方法を熟知しています。そのため、問題がエスカレートする前に、スムーズに解決に導いてくれます。
会社に代わって相手と示談交渉してくれる
弁護士は、相手と示談交渉を進めてくれることがあります。
退職後の元従業員からは、過去にさかのぼって残業代を請求されるケースが少なくありません。それが過去数年に及ぶ場合、請求金額は何百万になる可能性もあるでしょう。
弁護士であれば、相手の請求内容が正しいかどうかの判断を正確にでき、業務時間として容認出来ない部分があれば、相手に減額請求してくれます。
弁護士に頼ることで、会社の権利を確実に守ってくれるでしょう。
会社をトラブルから守るために弁護士保険への加入がおすすめ
残業代請求をはじめとする労働問題に効果的に対処するためには、法的な専門知識を持つ弁護士のアドバイスが不可欠です。ただ、弁護士費用は数十万から数百万に及ぶ可能性があり、残業代支払いを回避できたとしても大きな負担になりかねません。
そこでおすすめなのが、弁護士保険です。
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記事を振り返ってのQ&A
Q.残業代を請求されたときの対応を教えてください。
A.会社が残業代を請求された場合、以下の手順で対応しましょう。
- 請求内容を確認する
- 従業員の請求内容が事実と一致するかどうか調査する
- 調査結果に基づき従業員と交渉する
Q.残業代請求に反論してもいいですか?
A.請求内容が明らかに不明瞭で疑問が生じる場合は、会社は反論の意思を持つ必要があります。
Q.残業代請求の対応に関する注意事項はありますか?
A.あります。まず、請求を放置してはいけません。勤怠記録やタイムカードの改ざんや破棄も厳禁です。また、穏便に済ませたいからという理由で相手の請求に対して安易な返事をしないようにしましょう。
Q.残業代請求トラブルを未然に防ぐ方法はありますか?
A.正確な労働時間の記録・管理を徹底してください。また、残業規制や労働基準法も守りましょう。これは、会社だけでなく従業員側にも周知徹底する必要があります。