親が多額の借金などをしたまま亡くなってしまった場合、身近にいる子であれば「相続放棄をしようかな」と最初に考えると思います。
しかし、近くには住んでいない兄妹や他にも法定相続人となりそうな人がいる場合は注意が必要です。
もし仮に、自分だけが相続放棄をしても他の相続人がその借金を単純承認で受け継いでしまう可能性があります。
このサイトでは何度も書いているように・・・
・相続の基本は財産も負債も同時に受け継ぐこと
だからです。
極端な話ですが、、例えば兄妹が3人いて自分だけが借金の事実を知っていたとします。
いざ遺産相続手続きが始まった際に自分は借金の問題を知っているので相続放棄を認められても、他の兄妹が法定相続人になっている場合には、財産も借金もその兄妹が受け継いでしまうことことになりかねません。
相続放棄をする場合は情報の共有をしましょう
逆に、自分が借金の存在を知らないでそのまま相続をしてしまったら自分の人生に明らかに余計な枷を背負ってしまうことにもなるということです。
もし、
今の貴方が相続放棄が必要だと思っている、借金の存在を知っているという状態であれば
・同じ法定相続人となる人や専門家と対策をしておく
ことを強くおすすめします。
借金回避のための相続放棄であれば、別に借金をしている当人を抜いても話し合うことは可能です。
それを生前におこなう時間も充分にあると思います。
同じ相続権利を持っている人間同士で情報を共有しておけば
実際に相続を判断するときに状況に合わせて本当に相続放棄をするのか
それとも限定承認のほうが良いのか、といったことも含めて専門家と連携して動くことが出来ます。
慌ただしく相続放棄の手続きをしたり、全く情報のない状態から諸手続きを始めるのはおすすめ出来ません。
誰が法定相続人になるのかを確認しておこう
自分の親や兄妹はもちろんですが、借金を残している人の法定相続人となる可能性のある人を確認しておくことが大事です。
以下、国税庁HPの「相続人の範囲と法定相続人」から引用
[平成30年4月1日現在法令等]相続人の範囲や法定相続分は、民法で次のとおり定められています。
- (1) 相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
- 第1順位
死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。- 第2順位
死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。- 第3順位
死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。- なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm
これだけを見ても少し分かりにくいですが、簡潔にすると
・配偶者は常に相続人となる(優先度1位)
・子供、親、祖父母も相続権利がある(優先度2位)
・故人の兄妹、もしくは兄妹が死亡しているときはその子供(優先度3位)
自分の立ち位置を「被相続人の子供」だとした場合には、、
- 片方の親が存命であれば片親+自分や兄妹+祖父母(存命時)、曾祖父母まで
- 両親が亡くなった場合は自分や兄妹+祖父母(存命時)、曾祖父母まで
- 子供のいない親の兄妹が亡くなっており近親者がいない場合は自分や兄妹+親世代まで
こういった様々な可能性があります。
生前の関係性や状況次第で、こういった法定相続人は変化するので
少しでも不明なところがあれば専門家などを交えて事前に確認をしておきましょう。