今回は過去に放送されたドラマ「エイジハラスメント」で登場するセクハラ・パワハラ問題に迫ります。
職場で被害にあっているという実感のある方は、過去の判例も含めじっくりとお読み下さい。
ドラマ全体のあらすじ
吉井英美里(武井咲)は総合商社の帝都物産の新入社員で、自分の能力を生かし繊維部門で役員を目指すという高い志と意欲をもって入社しました。
しかし、総務部に配属されてしまい電球の交換から名刺発注まで、回ってくる仕事はどれも社内の雑用ばかり。さらに問題は業務以外の人間関係にあり、新入社員のくせにランチや会合に顔を出さない英美里は、“和を乱す”存在として女性社員から目をつけられてしまいます。
男性社員は英美里をもてはやし仕事を与えるものの、英美里は会社案内の表紙やクライアントの接待など若さと美貌が必要とされている仕事しか与えてもらえないというエイジハラスメントにもがき苦しむことになりますが、そんな気持ちを先輩の女性社員が理解するはずもなく、その嫉妬の念は陰湿ないじめへと発展していきます。
エイジハラスメントとは?ドラマの中で行われていた事例
英美里が総務部で依頼されるのは、総合職社員として入社したにもかかわらず、「お茶くみ」や「掃除」といった業務が中心で、必ずしもキャリア職でなくてもできるのではないかと思われるものが中心です。
また、それだけではなく、会社のパンフレットの表紙や、パーティ主賓の接待など「若い女性であること」だけが評価されているような仕事を中心に押し付けられます。
もともと、エイジハラスメントとは、年配社員に対するハラスメントを表現するためにできた言葉ですが、このドラマの中では、また、ドラマの中だけでなく現実でも「(特に女性において)若さだけを評価して、若い女性であるが故の仕事を振る」こともエイジハラスメントと表現されています。
例えば、男女雇用機会均等法においても、お茶くみを女性だけに行わせるようなことは、「均等な業務の配分」に反する、とされています。(厚生労働省のHP参照)
若さや性別を理由に、特定の業務を押し付けることも、ハラスメントの一種であると言えるでしょう。
ハラスメントへの対応方法
セクハラを受けた時は?
性的な行動、言動によって不快と感じた時は、まずはそのことををはっきりと相手に伝え、セクハラだと示しましょう。
我慢はさらなる相手のセクハラ行為を誘発する可能性があります。
また、被害にあった際は、すぐに会社の相談窓口や上司に相談し、「会社としての対応」を求めるようにしましょう。
部署内など、内輪での問題に留めると、その後かえって報復を受ける可能性があるので、注意が必要です。
会社の対応が十分でない、もしくは信用できないため、社外に相談したい場合の相談先は、「都道府県労働局雇用均等室」がおすすめです。
パワハラを受けた時は?
パワハラについては、セクハラと比べると認知度が低く、専門の対策窓口が社内に設置されていない場合もまだあります。
会社にとっても、通常の業務指導と、パワハラの線引きが難しいという感覚もあるようです。
社内の相談機関に相談し、解決が難しい場合には、都道府県の労働相談窓口を利用しましょう。
ハラスメントに関する判例(静岡労基署・35歳製薬会社営業社員自殺事件)
事件の要約
MRとして働く製薬会社の社員が、営業上のミスを詰る上司から、繰り返し暴言を受けていた。
具体的には、「存在が目障り」「会社を食い物にしている」「給料泥棒」「車のガソリン代がもったいないから移動するな」など、自殺の原因となりうるほどの精神的な加重がかかっていたと認められ、労災認定を受けた。
事件の判決概要
・Aは平成14年12月末~15年1月中旬の時期に精神障害を発症したと認めるのが相当である。
・Aが遺書において上司であるB係長の言動を自殺の動機として挙げていること。Aの個体側要因に特段の問題は見当たらず、B係長との関係が困難であることを周囲にしばしば打ち明けていたこと等からして、平成14年12月末~15年1月中旬の時期までに加わった業務上の心理的負荷の原因となる出来事としては以下のB係長の発言を上げることができる。
・「存在が目障りだ。居るだけでみんなが迷惑をしている。お前のカミさんも気
がしれん。お願いだから消えてくれ」
・「車のガソリン代がもったいない」
・「どこへ飛ばされようと、俺は、Aは仕事をしない奴だと言いふらしたる」
・「お前は会社を食い物にしている。給料泥棒」
・「肩にフケがベターと付いている。お前病気と違うか」
B係長がAに発した言葉自体の内容が非常に厳しい。B係長のAに対する態度にAに対する嫌悪の感情の側面がある。B係長がAに対し、極めて直截なものの言い方をしていること。
Aの属する静岡2係(上司を含めて3名体制)の勤務形態が、上司とのトラブルを円滑に解決することが困難な環境にあること。B係長のAに対する心理的負荷は、人生においてまれに経験することもある程度に強度のものということができる。
一般人を基準として、社会通念上、客観的に見て精神障害を発症させる程度に過重なものと評価することが相当である。
このような判例にも見られるように、パワハラを受けているうちに、精神が磨耗し、冷静な判断能力が失われていきます。
パワハラを受け続け、精神疾患になってしまう前に、相談窓口や弁護士事務所に相談に行くことを強くお薦めします。
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