こんな疑問にお答えします
Q: しつこいイタズラ電話・迷惑電話があった場合の推奨される行動は?
A:「弁護士費用保険の教科書」編集部
電話トラブルの1番の対策として、怪しい番号からの着信は出ないということがまずは挙げられます。 留守番電話サービスを利用すれば、知らない番号からの着信だったとしても発信元が誰なのかを確かめてから折り返すことができます。
また何度も同じところからの着信がある場合は、その番号を着信拒否するのも効果的でしょう。
しかし中には、複数の番号を利用して電話をかけてきたり、企業のお客様センターの立場として着信拒否することができなかったりと、上記対策だけでは手に負えないトラブルも存在します。
そんな場合は、弁護士や警察等の専門機関に頼ることが必要です。 電話は、現在ではその発信元や会話の内容まで、簡単に調べることができると共に、それをそのまま証拠として提示することも可能です。
イタズラ電話・迷惑電話はどんな罪で訴えられるの?
今回は、「電話」にまつまるトラブルとその解決方法についてご紹介します。
1番身近な電話トラブルといえば、無言電話やいたずら電話等の「迷惑電話」が挙げられます。
しつこく知らない番号や非通知の番号から電話がかかってくると恐怖を覚えますよね。
これは誰もが1度や2度は経験したことがあると思いますが、悪質の度合いによっては警察も犯人特定のために力を貸してくれるトラブルの一種です。
それでは「迷惑電話」について、個人向け、企業向けの大きく2つに分類し、法律的観点から対策を考えていくことにします。
個人相手の迷惑電話の場合の罪
個人に対する迷惑電話の場合、「傷害罪」にあたる場合が多いです。
傷害罪(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
傷害罪は、他人の身体の生理的機能になんらかの損傷を与えれば、この手段がどのような方法であるかを問わず成立します。
そのため、直接身体を傷つける行為をしていなかったとしても、精神的な苦痛によって身体の生理的機能が毀損されたとみなされれば、傷害罪は成立します。
つまり、悪質な迷惑電話が原因でそのような症状が出たということを証明することができれば、傷害罪を適用することができるということです。
この時、生理的機能の毀損を客観的に示すために、医師による証明書等を用意することが大切です。
また、近年は、不動産投資や光回線工事、電力・ガスなどの切り替えなどのしつこい電話勧誘も増えており、電話勧誘トラブルは増加しています。
電話勧誘は、なかなか断ることが難しいこともありますが、はっきりと必要ないと意思表示することが大切です。
業者はそれ以上勧誘することができません。
また、次回から電話勧誘がないように、顧客リストから自身の番号を削除するよう伝えましょう。
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企業相手の迷惑電話の場合の罪
また、企業に対する迷惑電話の場合、無言電話や悪質でしつこいクレームを繰り返し、それが原因で業務が妨害されたとみなされれば、業務妨害罪が成立します。
業務妨害罪(刑法233条)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し(偽計業務妨害罪)、又はその業務を妨害した者は(威力業務妨害罪)、 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
過度な迷惑電話によって、他のお客様への対応ができなかった場合などがこれにあたります。
このような場合は、電話をかけた者に業務を妨害しようとする意思があったのか、なかったのかが判決の争点となります。
その他にも電話先で暴言を吐かれたり、度重なる無言の圧力によって自分に何か危害が及ぶのではないかとい恐怖心を植え付けられたりした場合は、脅迫罪が適応されることがあります。
脅迫罪(刑法222条)
○生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
○親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
つまりは、相手の顔が見えないからといって悪質な嫌がらせを繰り返し行うことは、電話であっても関係なく懲罰の対象になるということです。
脅迫罪についての詳細は、「脅迫罪はどこから?成立要件と慰謝料や証拠について」をお読み下さい。
迷惑電話による訴訟の裁判例を見てみよう
ここで一つ、過度な嫌がらせの電話によって業務を妨害したとして罪に問われた男の判例をご紹介します。
本裁判においては、迷惑電話の回数だけでなく、男が迷惑電話をかけるために電話代の節約をしていたことや、電話先が1つでなかったことも迷惑電話である証明の一部となり、被告は実刑の判決となりました。
「教義が間違っている」寺に迷惑電話3千回、男に実刑
自分の名前を名乗って「教義が間違っている」などと、札幌市内の寺へ約7か月間に3000回以上の迷惑電話をかけたとして、業務妨害の罪に問われた鳥取県倉吉市上灘町、パチンコ景品交換所従業員谷口博司被告(53)の判決公判が26日、札幌地裁で開かれた。
吉村正裁判官は「嫌がらせ目的なのは明らか。公判でも『1日1回に自制はするが、これからも教義を正していく』などと言い、反省が見られない」として、懲役1年(求刑・懲役1年6月)の実刑を言い渡した。
谷口被告は、図書館などで電話番号を調べ、他の寺にも同様の電話をしていた。
2004年10月からは電話料金を節約するため割安なIP電話に変更したほか、使っていた黒電話のダイヤルが掛けすぎで回しにくくなり、プッシュホンに買い替えたりしていた。
出典:読売新聞(2005年8月26日)
悪質な迷惑電話トラブルの対策
電話トラブルの1番の対策として、怪しい番号からの着信は出ないということがまずは挙げられます。
留守番電話サービスを利用すれば、知らない番号からの着信だったとしても発信元が誰なのかを確かめてから折り返すことができます。
また何度も同じところからの着信がある場合は、その番号を着信拒否するのも効果的でしょう。
しかし中には、複数の番号を利用して電話をかけてきたり、企業のお客様センターの立場として着信拒否することができなかったりと、上記対策だけでは手に負えないトラブルも存在します。
そんな場合は、弁護士や警察等の専門機関に頼ることが必要です。
電話は、現在ではその発信元や会話の内容まで、簡単に調べることができると共に、それをそのまま証拠として提示することも可能です。
顔が見えないからといって怖がる必要はありません。
電話だということを逆に強みとして、悪質な迷惑電話のトラブルと戦っていきましょう。
勧められるままに断りきれず、商品を購入してしまったり、あまりにもしつこい迷惑電話などで被害を被っている場合は、弁護士に相談してみることをおすすめします。
記事を振り返ってのQ&A
A:個人に対する迷惑電話の場合、「傷害罪」にあたる場合が多いです。企業に対する迷惑電話の場合、無言電話や悪質でしつこいクレームを繰り返し、それが原因で業務が妨害されたとみなされれば、業務妨害罪が成立します。
「弁護士費用保険の教科書」編集部

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