子どもがいる離婚の場合、夫婦のどちらが子どもの親権を持つのかが決まるまで、離婚が成立することはありません。
離婚届にも親権の記載欄があるほど、子どもの親権というのは離婚問題の中でも重要視されています。
もちろん離婚問題が離婚調停にまで発展してしまった場合であってもこれは変わらず、親権争いに決着がつくまで、離婚は成立しません。
では、離婚調停時、どのような基準で子どもの親権は話し合われることになるのでしょうか?
また、子ども自身の意見というのは尊重されるものなのでしょうか?
今回は、離婚調停の親権争いについて詳しくご説明していきます。
裁判所や調停委員が親権者を認める基準
裁判所や調停委員は子どもの親権について、子どもへの愛情はもちろんのことですが、主に下記のようなことを重視して親権についての話し合いを展開していきます。
まずは、子どもを育てていけるだけの経済力があるか否かです。
ある程度の経済力がないことには、なかなか親権者として認められないのが実際のところ。
ただし、こちらには養育費も含めて考えても良いため、働いていない母側が不利になるという意味ではありません。
次に、自分以外に子どもの面倒を見られる者がいるか否かです。
たとえば、自身が外出中の間は両親(子どもの祖父母)が面倒を見てくれる環境ができているなどです。
その他にも、子どもの通学への環境がいかに整っているか、子どもの兄弟姉妹の現在の状況はどうなっているかなど総合して話し合いが進められていきます。
子どもの意見が反映されることもある
上記以外にも、子ども自身の意見が反映されることもあります。
ただし、子どもの意見が反映されるようになるのは、15歳以上からです。
このくらいの年齢になれば、自らの今後のことも見据えて意見を述べることができるだろうということで、少し高めの年齢設定となっています。
子どもが15歳以上であれば、その他の事情はほぼ抜きにして、本人の意見が最大限尊重されるでしょう。
なお、子どもが15歳未満であっても、裁判官の判断によって家庭裁判所の調査官から子どもの意見を聴取することもありますが、本人の希望を聞く程度であって、強く反映されることはないと考えておくようにしましょう。
それよりも、調査官の行う調査で重要となるのは、現在の子どもの監護状況や、非監護側の受け入れ状況などです。
どちらが子どもの親権者として、より適しているかが調査されます。
親権者の指定は母が強いのが実情
親権者指定については、上記のような基準や子どもの意見などの側面もありますが、それでもやはり母親が強いのが実情です。
特に、子どもが小さければ小さいほど、親権者は母に指定されることがほとんどと言えるでしょう。
かといって、父に指定されることが全くないわけではありません。
子どもがすでに父の実家などで暮らしており、父が不在時は祖父母が面倒をみてくれるというような、より子どもに適した環境作りがすでに完成しているのであれば、なるべく環境を変えないようにとの配慮と、子どもの発育に関するおおまかな基準は満たしていることから、そのまま父が親権者として指定されることもあります。
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永瀬 優(パラリーガル)
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