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訴状を無視して裁判も欠席するとどうなるのか

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投稿日:2019年2月21日 更新日:

この記事の執筆者:田中靖子(元弁護士)

ある日突然裁判所から訴状が届いた場合、どのように対応したらよいのでしょうか?

訴状を無視してもよいのでしょうか?

裁判を欠席するとどうなるのでしょうか?

今回は、裁判所から訴状が届いた場合に、訴状を無視して裁判を欠席するとどうなるのかについて、法的な観点から分かりやすく解説します。

※関連記事→「内容証明を無視したら・無視されたらどうなるのか

そもそも「訴状」とは何か

「訴状」とは、裁判所から届く手紙のことです。

訴状には、「◯◯さんがあなたに対して裁判を起こしました」ということが記載されています。

訴状が届いたということは、「既に裁判が始まっている」ということを意味します。

裁判は、裁判所に訴状が提出されることによって始まります。

通常は、裁判所に訴状が提出されてからあなたの元に訴状が届くまでに、およそ1週間ほどかかります。

つまり、あなたが訴状を受け取った時点で、裁判が始まって既に1週間ほどが経過しています。

「既に裁判が始まっている」といっても、慌てる必要はありません。

訴えられた人がきちんと準備できるように、第1回目の裁判の期日は、およそ1ヶ月後に設定されています。

訴状をよく見ると、「第1回口頭弁論期日(こうとうべんろんきじつ)」という言葉が書かれています。

その日時が、第1回目の裁判が行われる日時です。

この1ヶ月の間に、弁護士を探したり、事件の関係者に相を談したりするなど、第1回目の裁判に向けて準備をすることになります。

準備をする期間は1ヶ月ほどありますので、落ち着いてゆっくり方針を検討しましょう。

初回の裁判に欠席するとどうなるのか

訴状には、第1回目の裁判の日時が書かれています。

この日時は、裁判所が決めた日時です。

平日のビジネスアワーが指定されますので、お仕事などで忙しい方は、出席することが難しいかもしれません。

仮にあなた自身が出席できる場合であっても、あなたが依頼した弁護士がその期日に別の予定が入っている可能性があります。

このように、第1回目の裁判については、出席できない方がたくさんいらっしゃいます。

しかし、心配する必要はありません。

第1回目の裁判に出席できない方のために、欠席しても不利にならないための制度が設けられています。

この制度を、「擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)」といいます。

それでは、擬制陳述とは、どのような制度なのでしょうか?

訴状が届けられた封筒には、「答弁書(とうべんしょ)」という書類が同封されています。

この「答弁書」をきちんと提出しておけば、欠席しても不利に扱われることはありません。

「答弁書」とは、あなたの言い分を伝えるための書類です。

相手が訴えた内容に間違いがあったり、事実と異なる内容が含まれていれば、答弁書にその旨を記載することができます。

答弁書にあなたの言い分をきちんと記載しておけば、第1回目の裁判に欠席しても、不利になることはありません。

答弁書を提出しておけば、「第1回目の裁判に出席して、答弁書に書いてあるとおりに発言したもの」と扱ってもらえます。

このように、「裁判を欠席したにも関わらず、裁判に出席して発言したものと扱ってもらうこと」を、擬制陳述といいます。

答弁書を提出しないまま欠席するとどうなるのか

答弁書にあなたの言い分をきちんと記載しておけば、第1回目の裁判に欠席しても、不利になることはありません。

それでは、答弁書を提出しないまま第1回目の裁判に欠席すると、どうなるのでしょうか?

答弁書を提出することなく第1回目の裁判を欠席すると、「相手の言い分が全て正しい」と認めることになってしまいます。

裁判所からすると、訴状を無視して裁判を欠席するということは、「争う姿勢が無い」「反論が無い」ということになります。

当事者に争う意思が無い以上、裁判所が積極的に事実関係を調査することはありません。

このように、「裁判を欠席した人について、相手の主張を全面的に認めたものとみなすこと」を、「擬制自白(ぎせいじはく)」といいます。

よって、訴状の内容に不備が無ければ、原告の請求をそのまま認める形で判決が出されてしまいます。

これを「欠席判決」といいます。

裁判に欠席した人は、相手と争うチャンスを自ら放棄したといえます。

つまり、「欠席判決」という制度は、裁判を欠席した人物へのいわばペナルティーという意味合いを持っています。

訴状に書かれている期日に必ず出席しなければいけないのか

裁判の日程第1回目の裁判に出席できなくても、答弁書を提出しておけば、不利に扱われることはありません。

しかし、「自分の知らないところで裁判が進むのは心配である」という方がいらっしゃるかもしれません。

このような場合、裁判所に連絡をすれば、第1回目の期日を変更してもらえることがあります。

第1回目の裁判の日時は、裁判所が決めた日時です。

もし予定が合わなければ、裁判所に連絡をして、日程を変更してもらうようにお願いしてみましょう。

スケジュールの調整については、相手の弁護士ではなく、裁判所に連絡します。

裁判所に連絡をすると、裁判所から相手方に連絡をしてくれます。

裁判所の連絡先は、訴状の中に記載されています。

訴状の中には、裁判を起こした相手の名前や、相手の弁護士の連絡先なども書かれているので、間違えないように注意しましょう。

なお、日時を変更してもらえるかどうかは、ケースバイケースによって異なります。

裁判所の空き状況によっては、変更してもらえないことがあります。

しかし、第1回目の期日に限っては、「擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)」の制度がありますので、日時を変更してもらえなくても心配する必要はありません。

2回目以降の裁判を欠席するとどうなるのか

答弁書を提出しておけば、第1回目の裁判に欠席しても、不利に扱われることはありません。

それでは、第2回目以降の裁判を欠席すると、どうなるのでしょうか?

あなたが「相手の主張が間違っている」ということを答弁書で主張すると、あなたが指摘した箇所について、第2回目以降の裁判で証拠調べをすることになります。

証拠調べは、裁判所で行われます。

裁判に欠席し続けると、あなたから証拠を出すことができないうえに、相手方がどのような証拠を提出したのかを正確に把握することができないため、大きな不利益となります。

また、正当な理由がないまま裁判を欠席し続けていると、裁判官からの印象が悪くなるというデメリットもあります。

このように、2回目以降の裁判に欠席し続けると、あなたにとって不利な結果となってしまいます。

反対に、相手方にとっては相当に有利な状態になります。

あなたが欠席すればするほど、相手方が勝訴をする確率が高くなっていきます。

よって、どうしても裁判に出席できないという正当な理由がある場合でなければ、2回目以降の裁判には必ず出席するようにしましょう。

なお、証拠調べに出席しないからといって、それだけで裁判に負けてしまうとは限りません。

相手方が適切な証拠を提出しなければ、裁判所が相手の請求を認めない可能性もあります。

 ただし、相手方にとって有利な証拠ばかりが提出されて、あなたの主張を支える証拠が一つも無ければ、相手方が勝訴する確率は格段に高くなります。

弁護士に依頼した場合は出席しなくてよい

弁護士に裁判を依頼した場合は、弁護士が責任を持って裁判に出席します。

弁護士が裁判に出席すれば、「本人が出席したもの」と扱われますので、欠席判決となるおそれはありません。

弁護士が答弁書を作成して提出してくれるため、擬制自白の心配もありません。

答弁書を提出していなくても、弁護士があなたの代わりに第1回目の裁判に出席すれば、不利に扱われるリスクはありません。

弁護士が裁判に出席すれば、本人が出席するのと同じ効果がありますので、あなた自身が裁判に出席する必要はありません。

このため、弁護士に依頼している方のほとんどは、裁判に出席することはありません。

なお、離婚調停のような家事事件に限っては、弁護士に依頼している方であっても、当事者本人が出席することが必要とされています。

離婚するかどうかは身分を大きく左右する出来事なので、代理人に一任することはできず、裁判所が本人の意向を直接確認することが必要とされているからです。

最後に

突然裁判所から訴状が届いたとしても、慌てる必要はありません。

第1回目の裁判までには、1ヶ月ほど時間があります。

落ち着いてゆっくり準備をしましょう。

訴状に書いてある日時に出席できない場合は、きちんと答弁書を提出しておきましょう。

答弁書の書き方がわからない場合は、弁護士に相談しましょう。

第1回目の期日に出席できなかったとしても、あらかじめ答弁書を提出しておけば、不利に扱われることはありません。

反対に、答弁書を提出しないままに裁判を欠席すると、相手の請求を全て認めたことになってしまいます。

どうしても裁判に出席できない場合は、弁護士に依頼して対応をお願いしておきましょう。

弁護士が裁判に出席すれば、本人が出席するのと同じ効果があるため、あなた自身が裁判に出席する必要はありません。

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田中靖子(元弁護士)

田中靖子(元弁護士)

東京大学経済学部卒業。2009年司法試験合格。2011年弁護士登録、2012年弁理士登録。離婚事件や相続トラブルなどの個人の案件から、会社設立・知的財産紛争・パワハラやセクハラを始めとする労使トラブルなどの会社法関連の業務まで幅広く取り扱う。現在は海外に在住し、法改正のニュース記事や法律解説記事を執筆する傍ら、グローバル企業や国際離婚に関する講演を行うなど、法律に関する情報を世界に向けて発進している。
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