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専業主婦の熟年離婚の準備。慰謝料や財産分与で後悔しないために

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投稿日:2015年7月6日 更新日:

熟年離婚で後悔

長年連れ添っても、夫が定年になり毎日家に居るとこれまで我慢できていたことも我慢できなくなり、熟年離婚。

ずっと専業主婦だったからこれから働くことはハードルが高いけれど、私が生きていけるだけの財産はもらえるの?慰謝料はどうなるの?

特に専業主婦の熟年離婚では、これからの生活に関する不安はつきものです。

後になって、「もっと財産をもらっておかなければならなかった」なんて後悔はしないように熟年離婚する前に準備しておきたいものです。

今回は将来熟年離婚することを考えているA子さんの事例をもとに、熟年離婚をする際の法的手続きと準備、注意点に迫ります。

熟年離婚を計画している専業主婦A子さん(45歳)の例

離婚したい専業主婦

「あの人と老後も一緒に過ごすことは、考えられないわ。」

専業主婦で40代半ばのA子さんは、現在、夫とは冷え切った関係です。

もちろん結婚当初は、夫婦は仲良かったのですが、授かった子供がなかなか手のかかる子供だったのに、夫は、仕事を理由に全く協力しませんでした。

それどころか、『俺は、仕事で疲れているんだ』という態度の夫に、次第に期待することを諦めていったA子さんに、夫への愛は残っていません。

ましてや男性としてみることもできません。

Aさんに限らず、近年の統計では、夫から妻への愛情は、そう減少するわけではないのですが、妻から夫への愛情曲線は、第一子を授かった時の夫の態度次第で急降下することが明らかになっています

女性にとって一番大変な、母となったばかりの時の乳幼児の子育て期での夫の態度は、その後の結婚生活に大きく影響をするのです。

Aさんの中では、離婚したいという考えは、何度も頭の中をよぎりました。

しかし、子育てに専念し、再就職の機会を逃したA子さんは専業主婦のままであり、経済的な点で生活に不安が残ります。

また、子供が手を離れたとはいえ、まだ独立したわけではありません。

子供のことを考えると、結婚式には両親揃って出席してあげたいと考えています。

そうすると離婚するベストな時期は、夫が還暦を迎え定年退職をするあたりがいいのではないかと考えています。

そんなA子さんが、熟年離婚をしても老後安定した生活をするためにどんな準備をしておいたらいいのか、ここで詳しくみていきます。

最近の熟年離婚率ってどうなの?

Aさん夫婦が結婚したころは、夫婦は最後まで添い遂げるもの、ましてや、還暦近い夫婦が離婚するなんて考えられないことでしたが、現在では状況が変化しているようです。

実際に、厚生労働省の統計によると、60歳以上の離婚件数は、平成12年以降増えており最近は20年前に比べて3倍以上に増えています。

熟年離婚の離婚率と離婚件数

妻の立場からいうと、離婚したいと思うことはあっても、実際に離婚に踏み切るには慰謝料や養育費など、経済的な保証の問題がクリアされなければ、なかなか決断できません。

その点、近年は女性の社会進出が進み、女性が働くことにより経済力をつけてきた事情もあります。

さらに専業主婦であった妻にとっても、2007年4月からスタートした年金分割制度により、老後の経済的保障が得られることになり、長い人生をもう一度一人になってやり直そうと決断する人が増えたようです。

では、熟年離婚を考える妻にとって、考えておかなければならないお金の問題について、さらに掘り下げていきます。

熟年離婚で、夫が不貞行為をしていなくても、慰謝料請求していいの?相場は?

離婚の際に夫から受け取ることのできるお金といえば、慰謝料という言葉をよく耳にしますが、これは、不倫・浮気などの不貞行為をしていない夫にも請求できるものなのでしょうか?

慰謝料を請求できる場合とは?

主婦の熟年離婚の慰謝料
慰謝料というのは、簡単に言うと相手方の不当な行為によって精神的苦痛を受けた場合に、その賠償として請求できるお金のことです。

では、夫婦間における不当な行為とはどういうものを指すのでしょうか?
例として、

・身体的・精神的な暴力。例えば、殴る蹴るの身体的暴力を受けた、夫から言葉の暴力を受け続けた等が挙げられます。

・相手が他の人と浮気・不倫をした場合は、これは不貞行為というものに該当します。これはとても精神的にダメージを受けますので、慰謝料を請求することが可能です。

・悪意の遺棄。つまり、ほったらかしにされるということです。例えば、夫が専業主婦の妻に生活費を渡さない、共働きの夫婦の夫が全く家事を分担しない等が挙げられます。「悪意」とは夫婦の婚姻が破たんすることを分かっていながらという意味であり、「遺棄」は夫婦で同居をしない、生活費を家計に入れないことなどで、配偶者との生活を見捨てる行為になります。
夫婦には一緒に暮らし、互いにたすけ合って生活することが、法律に義務付けられています。悪意の遺棄は、こうした夫婦間の義務に違反する行為になります。
たとえば、夫婦の一方側が理由もないまま家を勝手に出ていってしまったとき、収入がありながら家計に生活費をまったく入れない状態が続くときなどが、悪意の遺棄に当たります。

相場について

慰謝料の額は、一概にいくらと決まっているものでは有りません。

ケースバイケースなのです。

離婚に至るまでの事情は夫婦ごとに違ってくるためです。

実際には、裁判例を参考にした相場というものが存在します。

身体的・精神的な暴力を受けた場合

この場合の相場は、50万から500万と言われています。

具体的には、身体的・精神的暴力の状態、暴力を振るわれるようになるまでの経緯や回数や、さらには、ケガや障害、後遺症があった場合、それがどの程度なのかを検討して決めます。

悪意の遺棄の場合

この場合の相場は、50万から300万円と言われています。

基準となる額を100万として、生活費を負担しない事情、夫婦間の助け合いをしない事情の詳しい内容を検討して決められます。

では、性格の不一致は?

性格の不一致の場合は、どちらか一方に明らかに非があるといえない場合や、お互い同程度に非がある場合は、慰謝料請求はできないでしょう。

慰謝料請求の時効について

なお慰謝料請求には時効があります。

離婚後3年で時効にかかりますので気を付けて下さい。

※関連ページ→「離婚や不貞行為による慰謝料請求の時効と起算点で見落としがちなこと

とにかく離婚したいからと離婚届を提出した後に、慰謝料の交渉をすることはなかなか難しい現実があります。

慰謝料の取決めは、離婚届けを出す前に取り決めておいた方がよいでしょう。

そして必ず公証役場で執行認諾文言つきの離婚公正証書にしておきましょう。

※関連ページ→「離婚協議書と離婚公正証書作成の違いと作成費用、必要用書類

【財産分与】こっそりためているへそくりはもちろん私のものよね?

やりくり上手な奥さんの場合は、こっそりとへそくりをためている場合もあるでしょう。

夫は外で仕事をし、妻は家庭を守るという役割分業家庭の場合は、妻が家計を握っている場合も多く、家計の余剰金を、妻名義で預金していることもあると思います。

妻としては、へそくりは、自分のやりくりの才覚で浮かせた家計費を浪費することなく、貯めていたものという感覚でいると思います。

自分の働きへの報償というとらえ方をする方もいらっしゃると思います。

熟年離婚になる年月まで続けているとすれば、数百万円という額もありうるでしょう。

さて、これはどのように扱えばいいのでしょうか?

妻の財産として、扱ってもいいのでしょうか?

夫婦の財産について

まず、基本的な考え方を押さえておきましょう。

法律上は、婚姻前から持っていた財産や、婚姻期間中に自分の名前で手にした財産、親から相続した財産は、その人の単独の財産となります。

つまり、妻の場合は、結婚前から持っていた財産は妻のものです。

妻が専業主婦であろうとワーキングウーマンであろうと変わりはありません。

では、妻が専業主婦の場合で、へそくりをためていた場合はどうなるでしょうか?

先に述べた基本に従うと、家計に収入をもたらしていたのは、夫であるので、夫のものとなってしまいそうです。

ただし、一方で、夫が外で働けるのは妻が家庭にあって家事や子育てを一手に引き受けていたからだという考えもあります。

そう理解するならば、夫名義の収入であってもそれは、妻の内助の功により得られた共有財産と考えることもできますし、そこからコツコツと貯めたへそくりも夫婦の共有財産ということができると思います。

先に述べた妻の感覚からは完全には納得できないところもあるでしょうが、へそくりについては、完全にどちらかのものであるとは言えず、実質的には、話し合いで分割方法を決めることになるでしょう。

ですので、夫が定年を迎えたら熟年離婚するために、今のうちにコツコツへそくりをすることはあまり賢い準備とは言えないでしょう。

財産分与は折半?

それでは、ここで財産分与について確認していきましょう。

まず、婚姻期間中の夫婦の財産は、大きく分けて3つに分けられます。

①固有の財産

これは先に述べたように、婚姻前から持っていた財産や、婚姻期間中に自分の名前で手にした財産、親から相続した財産が該当します。

②共有財産

これは、夫婦の共有名義で手にした財産をいいます。

例えば、自宅用マンションを両方の名義で購入した場合がこれにあたります。

③実質的な共有財産

これは、名義はどちらか一方であっても、実質的な内容を考慮して夫婦の共有財産とみなすことが適当なものをいいます。

例えば、マイホームの購入において、大半は夫名義で登記をすることが多いでしょう。

とくに専業主婦家庭ならその傾向が強いと思います。

このような場合は、名義のいかんにかかわらず共有財産となります。

では、財産分与の対象になる財産はどれ?

財産分与の対象となる財産は、夫婦が婚姻中に協力して取得ないしは維持した財産のみがその対象となります。

よって、上記の3つをそれに当てはめると、共有財産および実質的な共有財産がそれに当てはまることがわかると思います。

注意する点は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も財産分与の対象となります。

マイホームを購入してまだ住宅ローンが残っている場合は、それも財産分与の対象となります。

つまり、夫と妻の両方で負担しなければなりません。

では、マイナスの財産といっても、どちらか一方がギャンブルや浪費等で作った借金はどう考えればよいのでしょうか?

この場合は、協力して作った負債とは言えないでしょうから、財産分与の対象とはならずに、借金を作った当事者が、責任をもって負担することになります。

では、割合は?

財産分与の対象がはっきりしたところで、次に、実際に専業主婦である妻はどれくらいもらえるのかというところが気になると思います。

これについては、基本的には、夫婦の話し合いで自由に決めていいのです。

ただ、話し合いがスムーズにいかない夫婦であるために離婚に至ったのでしょうから、話し合いは難航することも考えられます。

その場合は、離婚後2年以内に、家庭裁判所に対して協議に代わる申し立てを行うことが必要です。

これはもちろん、離婚調停と同時に申し立てることもできます。

家庭裁判所としては、この申し立てを受けて、財産分与の対象となる財産の額やその他一切の事情を考慮して、財産分与の額を決めます。

※関連ページ→「離婚調停と財産分与の種類 割合や対象になるものならないもの

夫が退職時にもらった退職金も折半?

熟年離婚においては、退職金の取り扱いも大きな関心事となります。

専業主婦の妻とすれば、勤め人の夫を持った場合、退職金が入る予定があるからこそ、離婚に踏み切れる人もいるのではないかと思います。

そこで、この退職金も財産分与の対象となり、また、妻が半分もらうことは可能なのでしょうか?

結論から言うと、退職金は、給与の後払い的な性質を持つものであり、原則として財産分与の対象となります。

では、離婚時に退職金はどのくらいもらえるの?

退職金が既に支払われている場合は、その退職金をもらうために妻がどれくらいの貢献をしたのかという点から判断されます。

具体的には、夫婦の婚姻期間や、夫の勤続年数を基準にして計算されます。

気を付けなければいけないのが、支給された退職金が離婚時点で残っているかどうかです。

経済的に余裕がある家庭ならいいのですが、実は、退職金で住宅ローンを清算したり、子供の進学費用が予定より多くかかったりして、退職金がほとんど残っていない家庭も多いものです。

そういう場合は、退職金が存在しないので、これの財産分与はできないこととなりますので気を付けて下さい。

ちなみに、離婚するタイミングが夫側が退職金を受け取る前だとしても、支給が確実であれば、婚姻期間(退職金の形成に貢献している割合)に応じた部分は財産分与の対象になる可能性があります。

※退職金を受け取るのがあまりに先であったり、見込みがはっきりしない場合は、財産分与として認められない場合もあります。

夫が払い続けていた年金の分割はどうなる?

2007年から年金分割制度が始まり、妻が専業主婦の場合は、夫が納付した保険料の一部を、妻自身の年金として受け取ることができるようになりました。

特に熟年離婚においては、夫婦間の公平性を保つための画期的な制度です。

なぜなら、Aさんのように長年、家族のために家庭を切り盛りしていた方の場合、夫のみが厚生年金を満額受給できるのは公平ではないからです。

但し、以下の注意点があります。

・夫が年金受給年齢であっても、妻が年金受給年齢に達していなければ、妻は年金を受けとることができません。

・対象となる年金は、共済年金、厚生年金だけです。国民年金は対象となりませんので、夫が自営業等の方は、この制度を利用することができません。

・年金受給を受ける本人が、25年の保険料納付済み期間等の資格期間を満たしていなければ年金を受け取ることができません。この場合は、25年の資格期間を満たすまで年金保険料の納付を行わなければなりません。

年金分割の種類

年金分割には実は二つの方法があるのです。

合意分割と3号分割です。

合意分割とは

これは、平成19年4月1日以後に成立した離婚が対象で、夫婦間での分割すること及び、分割の割合についての合意が必要となる方法です。

なお、対象となる期間は婚姻期間のすべてとなり、分割割合は2分の1が上限となります。

3号分割とは

これは、平成20年4月1日以後に成立した離婚が対象となり、合意は不要であり、分割割合も2分の1に固定されています。

自動的に分割してくれるので便利ではありますが、対象期間が平成20年4月1日以後であり、かつ第3号の被保険者のみが対象という制限があります。

なお、年金分割を請求できる期限は、離婚から2年間ですので注意しましょう。

※関連ページ→「離婚調停における年金分割と按分割合の勘違いされやすいポイント

弁護士保険で熟年離婚に備える

今回は、熟年離婚にまつわる財産分与について考えてみました。

へそくり、年金、退職金など、夫名義のお金や財産を離婚に伴って妻名義にしようとする場合、協議離婚や調停、裁判離婚のいずれのケースでも弁護士を介した手続きが有効となります。

このように熟年離婚を考えている一般市民にとって、高額な弁護士費用を保険で賄える『弁護士費用保険』はメリットが大きく、年々国内でも加入者が増えています。

例えば、プリベント社の 弁護士費用保険Mikataには一定期間の不担保期間が設けられており、現時点で離婚トラブルを抱えている人が加入をしても、補償の対象外となりますが、熟年離婚など3年以上先に離婚を計画しているケースでは、離婚に伴う弁護士費用の全部または一部を保険で賄える可能性が高くなります。

日本でも弁護士保険で熟年離婚に備える時代が、すぐそこまで来ているのを感じます。

 

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「弁護士費用保険の教科書」編集部

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