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有給を半日や1時間単位でもらうことはできないのか

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投稿日:2015年10月23日 更新日:

有給を半日や1時間単位でもらうことはできないのか

コロナが流行する前ですが、少しお休みをいただいて、道東の阿寒湖温泉というところまで旅行してきました。

全国どこの観光地にも言えることですが、以前は、アジアからの観光客がとても多かったですよね。

札幌でも稼働率が連日90パーセントを超えるホテルが多かったそうで、出張のサラリーマンが部屋を押さえるのにも苦労するような状態だったとか。

また、そのような日常が戻るのが、待ち遠しいですね…

さて、今日は、観光には欠かせない「年次有給休暇」の、ちょっと変わった使い方について見ていきましょう。

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会社が半休(有給)を認めてくれない

皆さんが仕事をしているなかで、よく「半休」という言葉を耳にすることと思います。

午前中に病院に行きたいとか、午後から銀行や役所の用事を済ませたいとか、丸1日休むほどでもないけどちょっと会社を抜けたい、というニーズはあるものです。

では、会社は労働者から半日単位で年次有給休暇をとりたいという申し出があった場合、これに応じなければならないのでしょうか。

この点、実は、会社には半日単位で付与する義務はないとされています。

日未満の単位での年次有給休暇(年休)を認めると、会社が使用目的を聞いて(それ自体違法ではありますが)、その所要時間に限ってしか休みを認めないという弊害が起こりえますし、そもそも、年次有給休暇の趣旨は心身のリフレッシュのためにあるのですから、原則として年次有給休暇は1労働日を単位としてとらせるものと考えるのが行政解釈となっています(昭63.3.14基発150号)。

ただし、この行政解釈は、単に半日単位で与える「義務がない」と述べているだけで、労働者が半日単位でとりたいいう申し出をしたときにそれを「認めてはいけない」と述べているのではありません(のちにそれを確認する内容の通達も出されています)。

そのため、法的には、「会社が許してくれさえすれば、半日単位で年次有給休暇をとることができる」という、何とも煮え切らない結論となります。

「半日」ってどれくらい?

ここで、突然ですがヒラガ問題です。

ヒラガが勤める事務所の所定労働時間は、午前が8時30分から正午までの3時間半、午後が13時からが17時30分までの4時間半の合計8時間となっています。
ある日、ヒラガは病院に行くため、午前に半休をとりました。
さて、この日、ヒラガは何時に出勤したでしょうか?

おそらく、答えは「13時」と「13時30分」のどちらかになったのではないでしょうか。

これは、法的にはどちらでも正解です。

先ほど述べたとおり、半休というもの自体、会社が認めてくれたらオールオッケーというファジーな制度ですので、半休の境目を昼休みとするか、それとも労働時間のちょうと半分の時刻とするかは、会社と労働者との間の取り決め次第となります(多くは就業規則で定められているものと思います)。

なお、私の事務所は半休の境目が昼休みなので、ヒラガ問題の正解は「13時」でした。

半休を午前にとると3時間半しか休めませんが、午後にとると4時間半休めますので、午後半休のほうが若干オトクな制度となっています。皆さんの会社はいかがでしょうか。

半休をとって残業したらどうなるの?

さて、またまたヒラガ問題。

今度はちょっと難問です。

ヒラガは午前に半休をとったので13時に出勤しましたが、この日は定時の17時30分までに仕事が終わらず、退勤できたのは19時30分でした。
さて、ヒラガは定時を超えて残業した2時間について、残業代をいくらもらえる(もらえない)のでしょうか?
なお、ヒラガは1時間あたり2000円の給料で働いているものとします。

答えは「もらえない」「4000円」「5000円」のどれかになりましたか?

それ以外になった方はもう一度計算しなおしていただきたいところですが、法的には「4000円」が正解です。

残業した2時間については、働いているのですから当然4000円分の給料は発生します。

あとは、労基法上の時間外割増賃金(25パーセント)も発生するかどうかがポイントになりますが、この割増賃金はあくまで「実労働時間」が8時間を超えたときにのみ発生します。

今回、ヒラガは13時から19時30分までの6時間半しか働いていないので、時間外割増賃金は発生しないことになるのです。

労使協定を締結すれば1時間単位で有給がとれる

有給を時間単位でとる

わが国では年次有給休暇の取得率が5割前後という低い水準にあることが問題視されており、その有効活用が求められています。

また、先ほどもお話をしたとおり、労働者側としても年次有給休暇を細かく使いたいというニーズがあるところです。

そこで、平成22年に労働基準法が改定され、時間単位での年次有給休暇が取得できるようになりました。

改正労基法39条4項は、使用者は、事前に労使協定を締結することにより、年5日以内に限り時間を単位として年次有給休暇を与えることができる、と規定されています(なお、この労使協定とは、労働組合または労働者の過半数を代表する者との書面による協定を指します)。

この改正で注意したいのは2点。

まずは、これまで述べてきた半日単位の年次有給休暇については、この制度とは関係なく運用できます。

つまり、労使協定を結ぶ必要もありませんし、「年5日以内」にもカウントされません。

そして、時間未満の単位での取得は認められていません(逆に「2時間」や「4時間」を単位にすることは可能です)。

会社も管理が大変ですし、年次有給休暇のもともとの趣旨からいえばあまり細切れにしすぎるべきではないという意識が働いたものともいえるのではないでしょうか。

そのような意味でも、この時間単位付与という制度はかなり特殊なものですので、会社としてはこの制度の運用に特別の注意を払う必要があるでしょう。

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平賀 律男(パラリーガル)

平賀 律男(パラリーガル)

1982年,北海道生まれの33歳。北海道大学大学院法学研究科にて労働法を専攻し,修士号を取得。2008年からは,パラリーガル(法律事務秘書)として法律事務所に勤務し,企業法務・破産管財などの法律実務に携わるかたわら,在野の労働法研究者としての活動も続けている(2005年より日本労働法学会会員)。著作(共著)に『ワークルール検定問題集』『おしえて弁護士さん 職場のギモン48』(以上,旬報社)『18歳から考えるワークルール』(法律文化社)など。好きな食べ物はラーメン。
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