一組の男女が惹かれあい、愛し合い、やがて一生添い遂げるつもりで結婚をする……とは言え、やはり元々は違う人間ですから、すれ違い別れる、いわゆる離婚をすることになる場合もあるでしょう。
厚生労働省が2015年1月1日に発表した、2014年の人口動態統計の年間推移を見てみると、2014年の日本国内での婚姻件数は64万9000組であり、その一方で離婚件数は22万2000組であるというデータが出ています。
この年に結婚したカップルが64万9000組であり、世の中すべての夫婦の中から離婚した夫婦が22万2000組であるということなので、単純に「結婚した夫婦の三分の一が離婚している」というのは間違いであるものの、かなりの数字であることは間違いありません。
また、離婚の理由はそれぞれ多岐に渡っても、人によっては裁判沙汰になって長期化し、子供のこと、お金のこと、様々な問題がドロ沼化するケースもあります。
どうせ離婚するのであっても、できれば前向きに、気持ちよく双方円満に離婚したいものですよね。
今回は、円満離婚の仕方を中心に、夫婦の離婚についてお話をしていこうと思います。
円満離婚の方法①離婚はなにかと揉めるものだと知っておく
そもそも円満とはプラスな意味の言葉ですよね。
そして円満な夫婦であれば、離婚する必要が無いのですから、円満離婚といってもなんだか違和感がある方も多いのではないかと思います。
しかし、同じ離婚でも実は、円満な離婚とそうでない離婚があるのです。
基本的には、離婚を選択するくらいに結婚生活がうまくいっていない夫婦ですから、お互いへの不満も限界までたまっていてなかなかスムーズに離婚することは難しく、揉めてしまうことが多いようです。
パートナーとのコミュニケーションをとることすら嫌気がさしてしまい感情的になり、とにかく早く別れたい、早く別れてすっきりすべてを一掃したいと思い、離婚自体を急ぐ方も多いです。
しかし、そんな焦りから慌てて早く離婚したものの、いざ離婚してみるとパートナーの大切さに気付いてしまい、後悔先に立たずといった状態になるなんてことも、よくあるようです。
これでは円満離婚であったとは言えません。
また離婚と言えば、どうしても慰謝料や子供の養育費といった金銭の問題や、子供の親権の問題もつきものです。
これらについても、支払う側として多額の金額を請求されたことから揉めてしまうケースや、逆にアテにしていたほど得ることができず、その結果として離婚後の生活に困窮してしまったというケース、、どちらが親権を得るかで裁判が行われるなどといったケースもよく耳にします。
こうした結果も、円満な離婚であったとは言えないでしょう。
このように、離婚は何かと揉め事が多いものです。円満に離婚したいのであれば、まずはどういったことが揉め事の要因になりそうかを、しっかり把握しておくようにしましょう。
円満離婚の方法②そもそも円満離婚とは何なのか?
ところで、そもそも円満離婚とはどのようなものなのでしょうか?
それは、前述の様々な問題で揉めてしまった離婚のケースと比べ、お互いに相手の要望などを拒否することもなく、感情的になったりもせず、事を荒立てず、離婚の成立までの流れがスムーズである。そんな離婚のことを、円満離婚と呼びます。
金銭や子供の親権といった問題に関する離婚後の人生設計ができているのはもちろんのこと、一番大事なのは、離婚するパートナーに対して、気持ちが残っていないかどうか、というところもポイントです。
情、後悔、悔しさ、妬み、憎しみなど、色々な気持ちを離婚するパートナーに対して残してしまっていると、後々まで引きずることになってしまい、下手をすると相手への執着へと繋がります。
こうした気持ちを残さない、しっかりとした別れこそが、円満離婚であると言えるのでしょう。
円満離婚の方法③離婚の手続きと方法
実は、離婚をするという手続き自体はとても簡単なものなので、双方の意見が合致している場合は案外早く離婚できてしまいます。
各市町村に置かれている離婚届を受け取ってくるか、あるいはインターネットから書式をダウンロードして印刷し、そこへそれぞれのサインと捺印をしたものを、近くの市役所に提出します。
そうすればあとはその離婚届が受理されれば、婚姻関係は解消されることとなります。
この離婚届には、離婚の理由やその後の生活に関する詳細な取り決めの記入などは必要ないため、手に入れて記入し提出するまでを、1日で行うことも可能です。
円満離婚の方法④気を付けるべき3つのポイント
ここでは、円満離婚をするために気をつけておきたいポイントを3つご紹介します。
パートナーの嫌いな点、問題のある点を直接指摘しない
ポイント1つ目は、パートナーの嫌いな点、問題のある点を直接指摘しないということです。
溜まっていた不満など、抱えているものを洗いざらいパートナーにぶつけてしまいたい、今後のパートナーのことを考えても一言言いたい、そんな気持ちがあるかもしれませんが、そこはグッと飲み込みましょう。
今までの生活を後悔せずに円満に離婚するには、言う必要がないことは言わなくて良いのです。
離婚成立前に他の誰かと恋愛しない
ポイント2つ目は、離婚が成立する前から恋愛をしないということです。
そもそもパートナー以外に好きな人ができてしまったからという理由で離婚した場合でも、恋はいつか冷めるものですし、もしかしたら元に戻りたくなってしまうかもしれません。
将来性や色々な面を含めたうえで、現在の結婚生活と比べてみる必要があります。
また、一番気を付けたいのは、恋だけでなく、離婚が成立する前から不倫関係になってしまうことです。
離婚成立前から、バレないだろうと好きな人と付き合ってしまう……いわゆる不倫関係になっていた場合、こんな事例もあります。
東京家 平成20.7.31(審)
家裁月報61巻2号
婚姻費用分担請求において、別居の主な原因が申立人(妻) の不貞行為にある場合には、婚姻費用として、自身の生活費に当たる部分を相手方(夫)に対して請求することは権利の濫用として許されず、同居の未成年子の監護費用に当たる部分を請求しうるにとどまるものと解するのが相当である。
引用元:行政書士阿部オフィス
離婚調停、離婚裁判においてはとても不利になり円満離婚への妨げになるだけでなく、パートナーから慰謝料の請求もされかねないので、要注意です。
離婚のことを多くの人に広めない
ポイント3つ目は、多くの人に広めないということです。離婚を考えるくらいですから、誰かには相談したいものでしょう。
ただ、あまりに多くの人に相談していると、パートナーの耳に思わぬ形で届くことがあります。
そうすると尾ひれがつき、意図していないことまで言ったことになっている可能性もあり、揉める原因にもなるので、どうしても相談をする場合は特に親しい友人やプロの弁護士などに限りましょう。
円満離婚の方法⑤万が一に備え、プロにも相談しておく
夫婦のみでの話し合いだけで円満に離婚できるか少しでも不安がある場合は、離婚を思い立ったタイミングからプロフェッショナルである弁護士に、あらかじめ相談しておくのがおすすめです。
なぜならば相談のみであれば無料であるところや、費用がかかるとしても低額なことが多いですし、万が一パートナーと揉めてしまった時にも、慌ててイチから弁護士を探す必要がありません。
また、ただ離婚届を出すだけでは、何もその後についての公的な書類が残らないため、どうしても離婚協議書や公正証明書といったものを作成することとなるはずです。
これらの書類に不備があった場合、最悪その効力を失ってしまう可能性があり、後々のトラブルの火種にもなりうるため、こうした書類の作成は弁護士にサポートを頼んだ方が良いかと思います。
これらのことを考えると、早い段階からプロフェッショナルのアドバイスを聞いておくだけで、円満離婚をできる可能性は高まります。
最後に
ここまで、円満離婚の仕方についてお話ししてきましたが、もともと一度はこの人だ!と人生の伴侶に選んだ相手です。
性格の不一致、パートナーの浮気、親族との確執、金銭トラブルなど、、夫婦の数だけ多様な理由はあるかもしれませんが、果たして本当に離婚という道しか選択肢は残されていないのかということをもう一度考えてみてください。
考えた結果、夫婦関係をもう一度修復したいという気持ちになったのであれば、是非こちらの記事をご覧になってみてください。
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