離婚調停では、「解決金」と呼ばれる支払いによって、離婚を解決させる場合があります。
解決金とは、文字通り「離婚問題を解決させるためのお金」という意味です。
では、解決金はどういった場合に支払われることになるのでしょうか?今回は、離婚時の解決金について詳しく見ていきましょう。
離婚時の解決金とは?①離婚とお金の関係性
解決金について詳しく知る前に、まずは離婚とお金の関係性について前提知識を深めておきましょう。
離婚とお金の問題は切っても切れない関係にあります。
たとえば、夫婦が婚姻生活中に築き上げた財産は、共有財産として離婚時に財産分与の対象となりますし、子どもがいるのであれば、養育費の支払いといった問題もあります。
また、慰謝料が発生しているのであれば、慰謝料の支払いだってあります。
その他にも、お金さえ支払ってくれれば離婚しても良い、これだけお金を支払うのだから離婚してほしい、といったように相手への条件としてお金を提示することもあるくらいです。
このように、離婚時にはお金の問題についてほぼ必ずといっていいほど話し合われる必要があり、それは離婚調停でも同様となっています。
離婚時の解決金とは?②解決金は支払い名目の1つ
上記のように、離婚時には財産分与・養育費・慰謝料といったお金に関する問題が付き物です。
そして、これらの問題が解決した際、「財産分与として○円」、「養育費として○円」といった支払いの名目がつくことになるのですが、実は解決金というのはこの名目の1つです。
最終的に離婚調停が成立すると、調停条項という離婚に際する条件をまとめたものが作成されるのですが、お金の清算がある場合、ここに支払い名目が記載されます。
それだけでなく、協議離婚時に作成したほうが良いとされている、離婚協議書といった書類にも、支払い名目は必ずといっていいほど記載されています。
そうしておかないと、なんのために支払われたお金なのかが後から分からなくなってしまうからです。
本人は財産分与として支払ったつもりなのに、受け取った側は婚姻費用だと思っていたため、後日改めて財産分与を請求した、なんてことにもなりかねないため、支払い名目がつけられることになっています。
解決金と記載し内容を曖昧に
とは言え、支払い名目が解決金となるとなんとなく曖昧な気さえしてしまいます。
財産分与なら財産分与、養育費なら養育費といったように限定して記載をされたほうが、はるかにわかりやすいです。
しかし、実はこの曖昧さがポイントとなっているのです。
たとえば、慰謝料となると、支払ったほうが一方的に悪かったことを認めるかのようのです。
しかし、解決金という表現をすればこういった感覚も薄れますし、支払われた側も希望するお金が入ってきているのだから文句もありません。
また、慰謝料だけに限らず、当面の生活費という意味合いで解決金という表現がされても良いわけです。
支払う側からすれば、離婚後の相手の面倒を見る気などないと思っていても、解決金としての支払いと言われれば、なんとなく離婚をするためには仕方がないのだと感じるようになります。
つまり、この曖昧さが返って都合が良く、離婚問題の解決に一役買っているというわけです。
また、離婚に関する問題すべてを解決するためのお金といった意味合いがあるため、後日、別名目での請求を受けてしまうようなこともありません。
離婚時の解決金とは?③相場
ところで、解決金の相場はどのくらいになるのでしょうか?
どのくらい支払えばいいのか、いくら支払われたら応じてもいいのか、相場を知っておきたいですよね。
しかし、解決金には特に算定基準といったものがなく、裁判例による離婚解決金の相場というものは存在しません。
あくまでも双方の話し合いによって決められるべきものなので、どちらかが納得できない金額設定しかできないようであれば、離婚は成立しないことになります。
解決金は実務でも多く使われている
解決金は、上記にように非常に使い勝手が良いため、裁判所でもよく使われています。
また、裁判所だけでなく実際に弁護士も離婚の解決金という表現を使うことがあります。
どちらにとっても都合の良い解釈ができますので、支払う側・支払われる側それぞれが納得してお金の問題、そして離婚自体の問題を解決できるというわけです。