内容証明を無視したら・無視されたらどうなるのか

 

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この記事の執筆者

川島 浩(弁護士)

内容証明を無視したら・無視されたらどうなるのか

ある日突然、内容証明郵便が届いた場合、どうしたらよいのでしょうか?

内容証明を受け取っても、無視してもよいのでしょうか?無視した場合はどうなるのでしょうか?

今回の記事では、「内容証明を無視したらどうなるのか」について解説いたします。

また、後半では「内容証明を無視された場合はどうしたらよいのか」についても説明いたします。

そもそも「内容証明」とは?

内容証明とは、「郵便局が内容を記録してくれる特別な手紙」です。

通常の手紙であれば、郵便局員が文書の内容を確認することはありません。

これに対し、 内容証明の場合は、手紙を差し出す際に、郵便局員が文書の内容を確認して、「手紙にどのようなことが書かれているのか」を記録してくれます。

また、内容証明には、「配達証明」を同時に利用することが一般的です。

配達証明とは、何月何日に相手方が受け取ったのか」ということを郵便局が証明してくれる制度です。

つまり、内容証明が届いた場合、「あなたがいつ受け取ったのか」ということが郵便局に記録されています。

あなたが「そのような手紙を受け取った覚えはない」と主張しても、郵便局に記録が残っているため、そのような主張は一般的に認められないことになります。

内容証明を無視するとどうなるか

それでは、内容証明を受け取った場合、無視したらどうなるのでしょうか?

内容証明郵便は、「手紙」の一種です。

内容証明郵便にはその内容によって様々な法的な効果が生じえます。

たとえば、時効を中断する効果としての「催告」や、「時効の援用」の意思表示、「解除」の意思表示などです。

とはいえ、内容証明が送られてきたからといって、相手の要求に応じなければいけない法的義務があるわけではありません。

相手が内容証明を送ってきたということは、「相手が本気で裁判を考えている」ということです。

内容証明を無視すると、近いうちに裁判を起こされる可能性が高いでしょう。

内容証明には、「何月何日までにご連絡してください」「何月何日までにお金を振り込んでください」と書いてあることがあります。

このような期限が書いてあっても、法的に返事をする義務やお金を支払う義務が生じるわけではありません。よって、その日までに返事を出す義務はありません。

しかし、内容証明に期限が書いてある場合は、その日までに対応しなければ、相手方が裁判の準備を始める可能性が高くなります。

裁判を起こされてしまうと、時間も費用もかかります。

裁判を起こされた後に、あわてて裁判に対応しようとしても、時間が足りないかもしれません。

相手から裁判を起こされる前に、弁護士に相談しておきましょう。

つまり、「内容証明を無視したからといって、法律的な効果があるわけではないが、早めに弁護士に相談をしておいた方がよい」ということです。

内容証明を受け取ってすぐに弁護士に相手との交渉を依頼すれば、裁判に巻き込まれずにすむ可能性があります。

相手方としても、「内容証明を送ってすぐに返事が来たから、裁判を起こさずに、話し合いで解決しよう」と穏和に考えるかもしれません。

内容証明を受け取ったら、どうしたらよいか?

それでは、内容証明を受け取った場合、具体的にはどのように行動したらよいのでしょうか?

時系列によって説明していきます。

(1)内容証明に書かれている文章をきちんと確認する

まずは、内容証明に書かれている相手方の主張を、きちんと理解しましょう。

内容証明を受け取った方の中には、慌ててしまい、中身をゆっくり確認しない方がいらっしゃいます。

まずは落ち着いて、内容証明をきちんと読み直してみましょう。

書かれている内容に納得できるのであれば、基本的には問題はありませんが、多くの場合、納得できない場合が多いと思います。

そのため、すぐに要求には応じず、法的な観点からみると実は理由がなかったり、理由があったとしても、請求額の減額や、分割払いなど、交渉の余地があるかもしれません。

慌てて要求に応じず、冷静になってじっくりと考えてから回答するようにしましょう。

書かれている内容に納得できないのであれば、慎重に対応しなくてはいけません。

内容証明を何度も読み直して、「この部分は納得できる」「ここは納得できない」など、どの部分に齟齬があるのか、整理してみましょう。

内容証明郵便を受け取る人

受け取った直後は動揺しているかもしれませんが、
落ち着いてもう一度読み直してみましょう。

(2)早めに弁護士に相談しておく

ご自身で整理できない場合や、整理してみたけれども不安が残る場合には、内容証明を持って弁護士に相談に行きましょう。

内容証明を受け取った方の中には、「裁判を起こされてから、弁護士に相談すればいいのではないか」と考える方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、裁判を起こされてしまうと、裁判のスケジュールに合わせて急いで準備をしなければいけなくなります。

内容証明を受け取った段階であれば、まだ裁判が始まっていないことが一般的ですので、ゆっくりと裁判に備えることができます。

また、内容証明を受け取ってすぐに弁護士に相談していれば、話し合いで解決するかもしれません。

話し合いで解決すれば、裁判所に出向く必要はなくなります。

裁判は時間もお金もかかります。裁判ではなく話し合いで解決できれば、時間とお金の節約になります。

何よりも大きなメリットとしては、「早めに弁護士に相談しておけば、今後に相手方との関係が悪化することを防ぐことができるかもしれない」ということです。

裁判になると、お互いに相手を批判、非難し合うことは避けられません

相手方との関係が悪化するおそれがあります。

しかし、話し合いで解決することができれば、「裁判をしなくて済んだ」ということになり、わだかまりが残らずに済むかもしれません。

以上のように、内容証明を受け取ってすぐに弁護士に相談すると、たくさんのメリットがあります。

裁判を起こされるまで放置するのではなく、内容証明を受け取った場合には、なるべく早い段階で弁護士に相談しておきましょう。

(3)弁護士を交えて相手方と交渉を行う

内容証明を持って弁護士に相談に行くと、弁護士が相手方の主張を整理してくれます。

また、こちらの言い分も法律的に整理して、「どのような権利を主張できるか」、「今後どのような方針を取るべきか」についても、アドバイスをしてくれます。

内容証明に対する返事の方法 としては、「きちんと書面で返事をする」ことが得策です。

もちろん書面は記録に残りますので、慎重に文面を考えなければいけません。

内容証明の返事を出す前に、必ず弁護士に相談しておきましょう。

内容証明の返事を電話で済ませることは危険です。

口頭で話した言葉は記録に残らないため、後になって「言った言わない」の争いが勃発するリスクがあります。

内容証明の返事の作成は、弁護士に依頼することもできます。

返事を書面で出すということは、相手方の手元に文章が残ります。

弁護士に依頼しておけば、弁護士が法的に不利にならないように文章を構成してくれるので安心です。

相手方に内容証明を無視されたらどうしたらよいか

それでは、反対に、あなたが内容証明を送ったのに無視された場合は、どうしたらよいのでしょうか?

以下では、「内容証明を無視された場合、どのように対応したらよいか」ということを解説します。

(1)まずは内容証明に記載した期限まで待つ

内容証明を送る場合、通常文末に回答期限を記載しておきます。

例えば、金銭の支払いを催告する場合には、「本書面到達後2週間以内にお振り込みをしてください」などと記載します。

内容証明を送ると、日本国内であれば2、3日で相手方が受け取ることになりますが、通常は相手方がすぐに動くことはありません。

相手方としても、まずは内容証明を読んで、どうするべきかを数日間は検討するでしょう。

内容証明を送った側としては、相手方からすぐに連絡が無いと心配になりますが、まずは回答期限までは様子をうかがうのが一般的です。

(2)期限内に相手方から回答があった場合

相手方から回答があった場合、どのように対応したらよいでしょうか?

あなたが内容証明に書いた要求を全て相手方が受け入れるのであれば、そこで紛争は終了です。

問題は、相手方が反論してきた場合です。

今後の対策を練らなくてはいけませんので、弁護士に相談に行きましょう。

相手方が内容証明の一部に反論してきた場合でも、必ず弁護士に相談しておきましょう。

一部に反論してきただけであっても、法律的には重要なポイントかもしれません。

ご自身で判断することは危険です。念のために弁護士と方針を相談しておきましょう。

例えば、金銭の支払いを請求したケースで、「なるべく早くお金を支払うつもりだが、今は手持ちのお金が無いので、あと半年ほど待ってほしい」と言われることがあります。

このような場合、黙って半年待ってしまうと、半年後に相手方が「そんなことは言っていない」と言い出すかもしれません。

このような事態を防ぐために、きちんと相手方の主張を書面の形で残して おくことが重要です。

金額が大きい場合は、公正証書にまとめておくことも有用です。

以上のように、相手方が一部に反論してきた場合であっても、必ず弁護士に相談しておきましょう。

(3)期限を過ぎても相手方が連絡をしてこない場合

相手方が期限を過ぎても返事をしてこない場合、次の手を考えることが必要となります。

内容証明は手紙の一種なので、相手方が無視したからといって、すぐに相手方の財産を差し押さえるなどの法的に強制力のある手続を使うことはできません。

相手方の財産を差し押さえるなどの法的に強制力のある手続を利用するためには、裁判を起こさなければいけません。

裁判を起こすには、タイミングが重要です。

裁判を視野に入れているのであれば、内容証明の期限を過ぎた段階で、速やかに弁護士に相談しましょう。

「裁判をするかどうか」「裁判をするとしたらいつ裁判を起こすのがよいか」について、弁護士と入念に相談をしましょう。

まとめ

内容証明は手紙の一種ですので、内容証明が送られてきたからといって、相手の請求に応じる法的義務が生じるわけではありません。

しかし、内容証明を無視すると、相手方が裁判を起こす可能性が高くなります。

裁判を起こされる前に、なるべくお早めに弁護士に相談しておきましょう。

反対に、内容証明を送ったのに無視された場合にも、財産を差し押さえることはできません。

裁判を視野に入れている方は、弁護士と今後の方針について相談しましょう。

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川島 浩(弁護士)

川島 浩(弁護士)

2010年12月、弁護士登録後、都内の法律事務所勤務を経て、2014年2月独立。大和法律事務所開業。「クライアントの皆様がどんなことでも相談できるような存在であり続ける」弁護士を目指し、日々の業務に取り組む。趣味はスポーツ観戦、歴史、釣り、お酒。第一東京弁護士会 犯罪被害者に関する委員会委員。第一東京弁護士会 若手会員委員会委員。著書に「ビクティム・サポート(VS)マニュアル -犯罪被害者支援の手引き-」(共著)がある。電話・メールによる無料法律相談を受け付けております。事務所ホームページの問い合わせ欄よりお気軽にお問い合わせください。
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