交通事故に遭ったとき、加害者が任意保険に入っていたら保険会社が示談交渉に対応しますが、加害者が無保険の場合、被害者が加害者本人と示談交渉を進めなければなりません。
そのようなとき、加害者が被害者からの請求に応じなかったり無視したりして、示談がスムーズに進まないことも多いので、注意が必要です。
加害者と話し合いをするためには、当初に内容証明郵便によって損害賠償請求通知書を送ることが有効となるケースがあります。
しかし、損害賠償請求の内容は多岐にわたるので、何をどこまで書けばよいかわからない、という方も多いのではないでしょうか?
今回は、交通事故の相手への損害賠償請求書を内容証明郵便で送るときの書き方を、テンプレートとともにご紹介します。
なお、内容証明の細かいルールは「内容証明郵便の書き方とルール」にてご確認下さい。
文例・テンプレート
前略 貴殿は、下記の交通事故(以下「本件事故」と言います)において貴殿運転の車両を私に衝突させ、私に対し、頭部挫傷等の傷害を負わせました。記事故発生日 平成○○年〇月〇日午前10時15分頃
事故発生場所 東京都新宿区〇町〇丁目〇番地先路上
貴殿運転自動車 普通乗用自動車(ナンバー〇〇〇〇)この事故は、貴殿の前方不注視の過失により発生したものです。
私は、本件事故で負った怪我の治療のため、平成○○年〇月〇日から同年〇月〇日まで入院を余儀なくされ、その後も、平成〇〇年〇月〇日に至るまで通院治療が必要となりました。その結果、以下のとおり合計○○万円の損害が発生しております。1 病院治療費 金○○円
2 付添看護費用 金○○円
3 入院雑費 金○○円
4 通院交通費 金○○円
5 休業損害 金○○円
6 遺失利益 金○○円
7 入通院慰謝料 金○○円
8 後遺症慰謝料 金○○円そこで、私は本書をもって、貴殿に対し、不法行為にもとづく損害賠償として、上記私が被った損害金合計〇〇万円について、支払い請求をいたします。
つきましては、本書面到達後10日間以内に、上記金額を下記の私名義銀行口座宛振り込む方法にて、お支払いいただけますよう請求します。
万一上記期間内に上記金額のお支払いをいただけない場合、民事訴訟や強制執行などのより厳格な法的措置をとらざるを得ないと考えておりますので、予めご了承ください。草々記○○銀行○○支店
口座の種類 普通預金
口座番号 ○○○○○○
口座名義人 ○○○○○○
ふりがな ○○○○○○以上
交通事故による損害賠償を請求する内容証明を作る際のポイント
交通事故が起こった時、多くのケースでは相手すなわち加害者に保険会社がついているため、通常わざわざ内容証明郵便を送ることなく、相手と示談交渉をして賠償金の支払いを受けることができます。
しかし、相手が無保険の場合には、相手本人に賠償金を支払ってもらう必要があります。
その場合には、内容証明郵便によって賠償金を請求しないといけません。
交通事故の損害賠償金は、けがが完治するか症状固定して治療が終了するまでは金額が確定しないので、治療が終了してから相手に内容証明郵便を送りましょう。
また、交通事故の損害の種類は、非常にたくさんあります。
治療費、付添看護費用、通院交通費、入院雑費、休業損害、慰謝料など、ケースによっても発生する損害が異なります。
そこで、これらの損害を漏れなく計算して、全額を請求しなければなりません。
自分では正しく計算できているか自信がなければ、弁護士に相談することをおすすめします。
また、「相手に連絡しても無視されて困っているので、細かい損害賠償金額のことはともかくとして、とにかく示談交渉に応じさせたい」というケースにおいては、正確に損害金を全部計算せずに、概括的に「〇〇の交通事故の損害賠償金を請求しますので、ご連絡ください」などという記載にしておく方法もあります。
また、交通事故による損害賠償ですから、事故の表示も重要です。
事故が特定されないと、何についての賠償金なのかが明らかにならないからです。
事故発生日や事故発生場所、車両のナンバーなど、交通事故証明書を見ながら書き写すと良いでしょう。
交通事故の損害賠償金を請求するときにも、1週間や10日程度の相当期間を定めて、その期間内に支払がない場合には民事訴訟等の手続きをとることを記載します。
実際には、この通知書を送った後に相手との示談交渉が開始することが予想されるので、必要な証拠などを集めておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、交通事故の加害者に対して内容証明郵便によって損害賠償請求書を送る方法をご紹介しました。
加害者が無保険の場合、示談交渉に対応してくれないので、困ってしまう被害者の方がたくさんおられます。
そのようなときでも、内容証明郵便を送ると、相手もプレッシャーを感じて対応してくることがありますし、万一無視された場合でも、後に裁判するときの証拠に使うことができます。
交通事故の場合、いろいろな損害の費目があり、それぞれについて正確に計算しないといけませんが、当初の段階では概括的な記載に止めておいてもかまいません。
計算結果に自信がない場合には、弁護士に相談すると良いでしょう。
弁護士に相談をする際には、弁護士の費用がかかるケースに備えて、弁護士保険に加入しておくこともおすすめです。
実際に訴訟などになった際の弁護士費用を軽減することが可能です。
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